界隈性のある街の魅力とこれからのまちづくり
都市デザイン
- レポート
都市計画学会と都市計画コンサルタント協会のコラボによる「⺠間都市プランナーと学識経験者のコラボレーションによる社会的要請に応じた政策⽴案とその実装に向けた研究交流分科会」という長い名前の取組があります。民間都市プランナーの実践的視点と学識経験者の学術的視点の触発により、産学官民の連携の推進、民間都市プランナーの職能の向上や学会における活動機会の拡大につなげることを目的とするものです。これまでに「界隈性のある街の魅力」をテーマにまち歩きやミニ講演会、ディスカッションを行ってきています。
この活動の一環として、11月2日に北九州市で開催された今年度の都市計画学会の全国大会において「界隈性のある街の魅⼒とこれからのまちづくり」と題するワークショップを行いました。これまでの活動を振り返りつつ、(1)界隈性のある街の魅力は何か、(2)界隈性のある街を守り育てる方法、の2つの議題で登壇したメンバーやフロアの参加者と議論をしました。
界隈性のある街の魅力については、親密感のあるヒューマンスケールの空間であること、人の営みが息づいていることを実感できること、ほっとできる安心感と怪しさのあるドキドキ感が共存していることなどが挙げられました。また、界隈性のある街を守り育てる方法については、界隈の空間の特徴を読み解くこと、自由を担保することで自然発生の魅力を生かすこと、失敗を許容する寛容性をもつことで多様な営みを誘発すること、既存の規制を緩和することなどが挙げられました。
議論の中では、界隈の魅力は一定の時間の蓄積や背後にある人々の価値観とも関係すること、主役があってこそ界隈の魅力が生きるといった指摘もありました。近年取り上げられることの多い居心地の良さやウォーカブルという概念には単純にあてはまらない界隈性のある街の魅力の本質に、少しは近づけたのではないかという手応えを感じました。
《Profile》
坂井 信行(さかい のぶゆき)
東京事務所長。
入社以来、景観・都市デザイン分野の業務に数多く携わり、幅広い視点から「景観」を捉える取組を続けている。
リベラルアーツへの関心が強く、博物館学芸員の資格も有する。
主な著書に『地域のチカラ』(共著、自治体研究社)、『都市・まちづくり学入門』(共著、学芸出版社)など。
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