アルパックニュースレター189号

歩行者優先道路化社会実験 「パークタウン・ストリート」第2弾実施!

執筆者;地域再生デザイングループ 山本昌彰・羽田拓也
都市・地域プランニンググループ 絹原一寛・橋本晋輔・中井翔太

なぜ「歩行者優先道路化」?

 ここ周南市は、山口県の中央部に位置する人口約15万人の都市。徳山動物園やコンビナートなどで有名で、かつては、山口県下でも有数の商業集積地として「賑わい」をみせていました。しかし、近年、地元百貨店の撤退などにより、その賑わいは失われ、まちの中心部の活性化が課題となっていました。
 今回紹介する取り組みは、中心市街地活性化の一環で、銀座通りを「公園のように歩行者にとって歩きやすい居心地の良い空間」(=パークタウン・ストリート)とし、まちの回遊性の向上や賑わい創出につなげていこうとするものです。車と共存させながらも、歩道を拡げて、まちなかでさまざまな活動や回遊が生まれるような社会実験として、9月28日(日)からの8日間、実施しました。将来的には「これぞ周南」といえるものをめざそうと、地元関係者が一丸となり、平成25年3月に認定された中心市街地活性化基本計画で掲げたまちづくりの理念「パークタウン」の先導的事業としてスタートしたものです。
 そもそもこの取り組みは、3年前に実施した市民のワークショップをきっかけに始まり、ニュースレター第174号でもとりあげましたように、平成24年、その「第1弾社会実験」を実施しています。前回は「憩い」がテーマで、一定の成果が得られましたが、今回の第2弾のテーマは「賑わい」「回遊性」「歩車共存」です。以下、テーマごとに今回の取り組みの内容を紹介していきます。(山本昌彰)


ウッドデッキでの多様な活用

「賑わい」~公園のような使いこなせる空間づくり~

 従来、商店街の賑わいというと、商店や買い物客による活気など“販売・購買活動”を軸とした賑わいが連想されます。しかし、周知のように、衰退しつつあるまちにおいて再び、賑わいを取り戻すには、多面的なアプローチが求められます。
 当取り組みでは、まちなかの“公共的な空間を使いこなす人々”が賑わいを生み出すと考え、ウッドデッキなどの空間づくりと並行し、まちなか活動者(プレイヤー)の募集を行い、市民による道路空間や駐車場、店先空間の利用をプログラムとして実践しました。周南市ではPRと同時に2度の説明会を実施したこともあり、楽器演奏(ライブ)・大道芸・作品展示など多様なまちなか活動者の参加が得られました。今回、まちなかのスペースへのニーズが確認できたことも、収穫の一つではないでしょうか。
 通行者から「普段は、通勤時に近くを通過するだけであるが、聞こえてくる演奏につい足を止めてしまった」という声も聞かれるなど、ウッドデッキ周辺には盛り上がりが見られ、賑わいづくりに一定の効果があったといえます。このように、まちに人が訪れ、時間を過ごす動機は多様であるということを改めて実感しました。まずは、店舗での購買も含め、多様な来街動機が相互に助長しあう中心市街地としての将来をみんなで共有していくことができればと思います。(中井翔太)


歩きやすく居心地のよい道路

ウッドデッキでの賑わいづくり

「回遊性」~素敵なお店を知ってもらうきっかけづくり~

 社会実験期間中に来訪された方に、銀座通りだけでなく、駅前の商店街等へも足を運んでいただくきっかけづくりとして、各商店街を通じて協力店舗を募り、スタンプラリー及びテイクアウトメニュー提供を実施したところ、23店舗にご協力頂きました。
 スタンプラリーでは、各店での商品購入に関わらずスタンプ押印を可能とし、5つの商店街で1店舗以上ずつスタンプを集めて応募すると周南市の特産品が当たる、として実施したところ、8日間の実験期間中に200通を超える応募がありました。特に土日を中心に小さな子供の親子が、マップを持ってまちを行ったり来たりする様子が見られました。
 スタンプラリー参加者からは「普段、駅前には来ないがこういうお店があると初めて知った」などの意見、協力店舗からは「お店の良いPRにもなった」という声もあるなど、まちなかの回遊や店舗への来店機会の創出については一定の効果があったと言えます。
 一方で、「売り上げにはあまりつながらなかった」というお店の感想もいただいており、まちなかの回遊性とあわせ、商店での購買につなげる仕掛けづくり、ひいては徳山駅前の商店街としてどうありたいかなどについて、お店と一緒になって検討、実施していくことが重要だと実感しました。(羽田拓也)


まちの回遊性を促すスタンプラリー

「歩車共存」~片側交通通行による交通体系の検証~

 今回社会実験を行った銀座通りは、徳山駅前広場につながる二車線の道路です。駅前の幹線道路として、普段は駅前広場に向かう自家用車の他、路線バスやタクシーが往来し、決して交通量が少ないというわけではありません。そのようなところで交通規制をしてしまって本当に大丈夫なのか?それを検証することも今回の社会実験の目的です。
 社会実験では通りの一部を終日片側通行にして、その車道を狭めた部分を賑わい空間として活用しました。詳細の検証はこれからですが、私が見た範囲では、周辺道路で大きな渋滞などは発生せず、交通量への影響はほぼ見られませんでした。しかし、その一方で、荷捌きやタクシー乗降への影響などについて意見が出されています。
 歩車共存と一言で言っても、この場所として大切にしたい交通手段は何なのか、その優先順位がなければ、限られた道路空間の中でうまく共存できません。今回の社会実験からこの通りや中心市街地としてその優先順位を明確にしていくことの必要性を感じました。(橋本晋輔)


片側交互通行による「歩車共存」

総括~空間再編による歩いて楽しいまちづくりへの期待~

 社会実験は事故もなく無事に終了しました。現在、来街者や商店主、交通事業者へのアンケート調査を整理、分析しているところですが、実施期間中でも来街者や商店主の方々から賛否両論、さまざまなご意見を頂きました。一過性の実験で終わらせることなく、これをきっかけに周南市の中心市街地、商店街の空間のあり方を関係者で話し合い、次のステップに進んでいくことが重要だと考えます。
 折しも、京都の四条通、大阪の御堂筋でも道路空間の再編が発表され、四条通では来年度の供用開始に向けて歩道部分の拡幅工事も進められています。自動車交通量の減少やにぎわいある空間づくりへの期待から、このような歩行者主体の道路空間への再編がますます加速していくでしょう。とりわけ周南市のような自動車交通が主体のまちはハードルが高いですが、今回の試みは一石を投じるものであり、今後の具体化に注目して頂ければと思います。
 なお、次号では、当社もまちづくりに関わっている四条通、御堂筋の状況についても詳しくご紹介しながら、道路空間の今後のあり方についてさらに考えてみたいと思います。(絹原一寛)