レターズアルパック202号
受け継がれる国栖の翁の舞
執筆者;建築プランニング・デザイングループ 樋口彩子
奈良県吉野町で国栖小学校跡地活用についてのお手伝いしている関係から、県の無形文化財である国栖奏(くずそう)を見に行きました。国栖奏は、毎年旧正月十四日に、吉野町南国栖の天武天皇を祭る浄見原神社で行われます。精進潔斎した翁筋といわれる家筋の男性が、神官に導かれて舞殿に登場し、笛や鼓の音に乗せて歌舞を奉納します。
古事記や日本書紀には、応神天皇が吉野に来られた際、国栖の人びとが歌舞を披露してもてなしたという記述があり、国栖奏の原型とされています。また壬申の乱では、国栖の人々が後の天武天皇である大海人皇子をかくまい、お慰めするために一夜酒や腹赤魚(うぐい)を供して歌舞を披露したといわれています。
今年はめずらしく雪景色となり、ひっそりと岩壁に佇む舞殿にしんしんと降る雪の中での狩衣姿。冷えきった空気にこだまする歌声や鈴の音に、古代の人々の営みに思いを馳せるとともに、参詣者による玉串奉奠(たまぐしほうてん)が行われたり、村人や参詣者一人ひとりの名前が読み上げられるなど、伝統的でありながらも、地域の人々の手で受け継がれてきた素朴さや和気藹々とした空気感を感じました。

国栖の翁の舞
![]() 浄見原神社脇に広がる雪景色の天皇淵(吉野川) |
![]() 多くの参詣者 |
レターズアルパック202号・目次
2017年3月1日発行
特集「願い」
- 特集「願い」/レターズアルパック編集委員会
- 復興への願いを込めて「強さとしなやかさ」を備えた地域づくりを目指して/中塚一
- まちの歴史や文化を次世代に引き継ぐことが地域の願いです。/嶋崎雅嘉
- 平成の氏子駈・氏子狩復活事業/三木健治
今、こんな仕事をしています(業務紹介)
- 富田林の「えびいも」ファンを増やしたい!Let's Everybody(エビバディ)!エビイモ!/片山麻衣
- 子ども建物たんけん隊~建物の魅力の気付きと発信~/増見康平
- 子どもたちはスマホといかに向き合うのか/坂井信行
- 「ワガヤネヤガワ・ベンチャービジネスコンテスト」グランプリ発表会が開催されました/江藤慎介
- いばきたを10 倍楽しむ方法/高田剛司
- 未来に繋ぐ「鉱山町に生きる誇り」/西村創
- 杉原千畝氏の顕彰施設に思う/安藤謙
地域に寄り添って地方創生を考える
きんきょう&イベントのお知らせ
- 3月~ 4 月実施の「地域づくりセミナー」-地域に寄り添う地方創生をめざして-を開催しています/畑中直樹
- はじめてのインド、はじめてのスリランカ~南インド経済事情視察で感じたこと~/杉原五郎
- 読者からのお便り/三輪泰司
- アルパック創立50 周年記念事業を開催します/森脇宏
- 受け継がれる国栖の翁の舞/樋口彩子









