レターズアルパック205号
和歌山市の歴史文化を活かしたまちづくりの機運が高まっています
執筆者;都市・地域プランニンググループ/松下藍子
地域の景観的、歴史的すばらしさは、文化財や歴史的建造物などの建物単体ではなく、海や山、田畑など周囲の自然と一体となり、地域全体として感じるもので、その環境は人々の活動があって維持されています。
和歌山市では、現在歴史的風致維持向上計画の策定に向けて取り組んでいます。「歴史的風致」とは、歴史的な建造物と周囲のまちなみ、人々の活動が一体となった環境を言い、この計画は、それを守り活かしていくための計画です。

和歌祭の様子
和歌山市といえば和歌山城が有名ですが、その他にも市内には多くの歴史文化が残っています。南部の和歌の浦は、古代からの景勝地として、その風景が和歌に詠まれてきました。干潟や島しょの自然的要素の上に、歴史的建造物が多数残り、景勝地ならではの祭礼が継承されています。その他にも、漁業を生業とし、それに関連する祭礼や風習の残る雑賀崎・田野・加太といった漁業集落、東部の山地と田畑に囲まれた農村集落などがあります。海・山の集落、城下町といった、異なる文化、異なる景観の特徴をもつ見所のある地域がたくさんあります。
和歌山市では昨年度より、雑賀崎と紀三井寺、山東の3つの地域において、住民の方々と景観まちづくりワークショップを行っています。そこでも、農業や漁業などの生業、歴史的な建造物や町並みといった地域の歴史文化をどう守っていくかが課題となっています。新しい要素をとりいれながらどうまちづくりに発展させるか、住民の方々と悩みながら考えています。
文化財保護法改正の動きがあり、市町村が文化財を地域振興に活用する計画を定め、国が認定する制度が改正の柱とされます。今後ますます歴史文化をまちづくりに活かすことが重要となってきます。

景観まちづくりワークショップ
レターズアルパック205号・目次
2017年9月発行
特集「秋の夜」
- 特集「秋の夜」/レターズアルパック編集委員会
- 東京の夜景を気軽に愉しもう/山崎将也
- 博多の夜の風物詩「屋台」を楽しむ/九州事務所((株)よかネット):山崎裕行
- ちょっぴりミステリアスな銭湯ナイトツアー/中村孝子
- 大阪湾秋の風物詩「タチウオ釣り」/山部健介
- かの文豪も愛したカフェの過ごし方/長沢弘樹
今、こんな仕事をしています(業務紹介)
- 「えきまちテラス長浜」がグランドオープンしました/中塚一、馬場正哲、松尾高志、西村創、原田捻、三浦健史
- 純米吟醸「藤袴」はロマンの香り/原田弘之
- 和歌山市の歴史文化を活かしたまちづくりの機運が高まっています/松下藍子
- “ひまわりオイル”ד○○○”お気に入りの食べ方を見つけよう!/武藤健司
- さらなる進化をめざす京都市の景観政策/坂井信行
- 気候変動適応策 地域コンソーシアム事業がスタートしました/畑中直樹
地域に寄り添って地方創生を考える
きんきょう&イベントのお知らせ
- 「文化資産」を活かす/三輪泰司
- 長野市善光寺の空き家再生視察~他地域での空き家活用につなげるには/竹内和巳
- 「集落を復興する」ということはどういうことかを考える~新潟県長岡市山古志(やまこし)地域を視察して~/羽田拓也







