レターズアルパック211号

老後の生活を「どこで」「どのように」「どんなコミュニティ」で過ごすのか、あらかじめイメージしよう

執筆者;地域再生デザイングループ/嶋崎雅嘉

 あるニュータウンでの高齢の住民の方が「老後一人になってしまったので、まだ元気だけれど便利なところに引っ越そうと思っています」とおっしゃっていました。
 一方で、実際に住み替えをした方から「便利な駅前に住み替えたけれど友達と会う機会が減ってしまい元気がなくなった」というケースも聞くことがあります。  社会的には、高齢者が安心して住み替えのできる受け皿として、特別養護老人ホームなどの介護施設や、サービス付き高齢者向け賃貸住宅などの高齢者向け住宅などがあり、「安全に居住できる住環境」「利便性」「医療介護サービス」などが提供されています。しかし、それだけでなく、高齢者の生活を支え見守り元気づける「コミュニティ」の存在が重要であると考えられます。
 そのため、今後のニュータウン再生などの住宅地の整備・再生の一つの考え方として、住み慣れた生活圏内または周辺で住み替えを検討できる受け皿をあらかじめ整備することが求められます。
 また、もう一つの考え方として、一人ひとりが高齢期の居住イメージを想定しながら、コミュニティへの積極的な参加の促進や接点を作ることが大切です。それは地域コミュニティである場合もあれば、趣味などのテーマコミュニティ、居酒屋やカフェなどで出会う人々の集まりでもいいと思います。また、施設・住宅の運営サイドとしても、高齢者がみんなで農作業のできる菜園の整備や、地域の公園清掃などに高齢者が参加する地域貢献型のプログラムなど、コミュニティづくりを誘発する仕掛けが求められます。
 老後の生活は、誰にでもやってくるもので、急におとずれるものではありません。あらかじめ、どこで、どのように、どんなコミュニティで暮らすのかイメージしながら、少しずつ準備をしていくことが必要です。また、社会的にも単に受け皿となる箱をつくるだけではなく、そこで高齢者がコミュニティへの帰属意識を持ちながら豊かに暮らすための仕掛けを考えることが重要です。


レターズアルパック211号・目次

2018年9月発行

特集「あらかじめ」

今、こんな仕事をしています(業務紹介)

新人紹介

きんきょう&イベントのお知らせ

まちかど