レターズアルパック211号

木賃の社会的意義を探して~モクチン企画へのヒアリングから~

執筆者;地域再生デザイングループ/竹内和巳

 皆さんは昭和期に建てられた木賃住宅に対してどんな印象を持っているでしょうか。
 私は少し前までは、歴史的価値のある伝統構法でもなく、モダニズムの洗練された住宅でもない、大量生産・大量消費社会の中で生まれた「どっちつかずで建築ストックとしての価値の低い住宅」という認識しかありませんでした。
 しかし、近年、住宅確保要配慮者への住宅供給関連の業務に関わる中で、低廉な家賃の場合が多い木賃住宅が、単身高齢者等の住宅確保要配慮者にとっての事実上の住宅セーフティネットとなっていることがわかってきました。
 都市での木賃の存在意義を探るため、東京都大田区蒲田を拠点としてモクチンの再生活動に取り組む「NPO法人モクチン企画」を訪問し、活動や今後の展望等についてお話を伺いました。


モクチン企画の事務所
(空地では保育園の子どもたちが遊んだり、 お年寄りが小話をしたりしているそうです)

 モクチン企画は、「モクチンレシピ」という木賃の改修メソッドの開発と、情報発信等のツールづくりの2つを活動の軸としてされています。モクチンレシピには、耐震補強等の大幅な改修項目から、内装等の簡易な項目まで様々なものがあり、状況に合わせて必要な要素を組み合わせて利用することができます。
(詳しくはモクチン企画のホームページをご覧ください! https://www.mokuchin.jp/
 お話の中で印象的だったのは、あくまでも木賃の活用を長期的でなく、都市開発までの間の存在として考えているところでした。資産価値向上の観点では、改修は入居者確保・収入確保を生みだします。一方で、セーフティネット確保の観点では、低廉な家賃を保つ必要があります。 個人資産である木賃をセーフティネットとして利用するためには、ハード整備に加えて、不動産運営の仕組み構築が不可欠だと改めて感じました。今回の訪問を参考にして、福祉事業と不動産事業の複合した取組の提案をしていけたらと思います。
 余談 モクチン企画のまちづくりの取組も書こうと思っていましたが、収まりませんでした。またの機会に。


接道条件の関係で不思議な敷地形状になっているとのこと

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2018年9月発行

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