アルパックニュースレター180号
都市をうるおす緑の空間
近年、ヒートアイランド現象を緩和する一環として、壁面緑化や屋上緑化などの取組が普及しています。それに伴いまちなかで人工的な緑を目にする機会も増えてきました。その背景には、鉄筋コンクリートを傷めない防水方法や土壌などの改良、メンテナンスやその費用を軽減するための様々な技術面の進歩もあるでしょう。いずれにしても、まちなかで緑を目にする機会が増えることは、環境面だけでなく景観上もよく、そして何よりも癒やされるのがうれしいです。
さて、最近、私が京都のまち歩きで見つけた緑のスポットをいくつかご紹介しましょう。
一つは四条通(麩屋町西入)に面したビルです。建設中に何度か前を通っていましたが、あれよあれよという間に緑でびっしり覆われたビルになりました。京都のメインストリート四条通は多くの人が訪れます。各店舗の趣向を凝らしたディスプレイは眺めているだけで楽しいですが、この巨大な緑のディスプレイは意表をつくだけでなく、通りに緑の爽やかな風を運んできます。
![]() ハンドメイドコスメ「LUSH」が入店のビル |
![]() びっしりと草花で覆われています |
もう一つは、今春オープンした八百屋さん「京都八百一本館」(東洞院通三条下ル)のビルにあります。ここは農場が併設された商業施設で、野菜だけでなく様々な食材が充実していて買い物が楽しい店舗です。屋上にはまちなかのビル群にあるとは思えない立派な「六角農場」があります。
加茂なす、万願寺とうがらし、ピーマン、ネギなどの野菜やハーブ類。普通の畑のようにかやつり草、つゆくさ、ねこじゃらしなどの雑草までが植えられています。こまめに手入れされている農場には、蜂の巣箱や小川までもあり本物以上に本物らしい畑になっています。休日は家族連れも多く、お客さん同士で野菜についての会話が弾みます。先日はズッキーニの花の食べ方が話題になりました。農場横や同じビル内にはレストランが併設されていて、収穫した野菜を食べることもできます。普段、店頭に並ぶ野菜を見ていても、身近に農地がなければ野菜の旬や実り方を知る機会はなかなかありません。この農場は子どもだけでなく大人にとってもいい食育の場になりそうです。
ここ数年、京都の田の字地区には、マンション建設が進み、それに伴い人口も増えてきています。まちなかにこのような緑の空間ができると季節感をもたらすだけでなく、まち全体がうるおいます。住民にとっても住み心地のいい魅力的なまちになっていくことでしょう。これからもどんな作物や草花が植えられるか楽しみで、何度も足を運ぼうと思います。
![]() この建物の屋上に農場があります |
![]() トンボやちょうも飛んでくる農場 |
![]() たくさん実っているピーマン |
![]() 小川も流れています |
アルパックニュースレター180号・目次
寄稿
ひと・まち・地域
- 地域から少子高齢化への対応を考える(その2)~出生率を高める女性就業率に影響を及ぼす3つの要因~/代表取締役社長 森脇宏
- 皇居ランの問題にまちづくりのアプローチで取り組む/都市・地域プランニンググループ 坂井信行
きんきょう
- 景観を通じたにぎわいづくり社会実験を行いました/公共マネジメントグループ 橋本晋輔
- 旧水井家住宅を活用してお茶会を開催しました/地域再生デザイングループ 岡崎まり
- 地域の魅力を巡る、まち歩きコースをつくってまちの皆に紹介しよう~ワガヤネヤガワ大学「まち案内人講座」~/地域再生デザイングループ 羽田拓也













