アルパックニュースレター184号

佐用川リバーステーションがオープン

執筆者;地域再生デザイングループ 森岡武

河川復旧から復興に向けて、佐用かわまちづくり 始まる!

 平成21年の台風第9号による記録的豪雨により甚大な被害を受けた兵庫県佐用町。災害から4年がたち、河川復旧工事は順調に進んでいます。
 このような中、災害や工事のために住民から遠ざかってしまった川との関わりを少しずつ復興していこうと、川から暮らしを見つめなおす「かわまちづくり」の取り組みが始まりました。
 「かわまちづくり」は、まず、住民と会話するところから始めました。100人を目標にヒアリングを実施し、まちづくりにたずさわる方々とワークショップを開催した結果、復旧工事によりできる河川管理用道路の活用や魅力を高める活動、さらに商店街や集落活性化、歴史・文化資源の活用など沢山のアイデアが出てきました。

考え続けるための仕掛けをつくる!

 「かわまちづくり」の目標は、川とともに暮らし続けるために、考え続けること。考えたことを実践し、継続することで街のにぎわいを取り戻すことです。そのためには、まず“気軽に集まる場”が必要だと考えました。それが「佐用川リバーステーション」です。空き店舗をお借りして、地域を再発見する写真展を開催したり、地域の自慢や魅力を書き込むマップを掲示したり、コーヒーを飲みながらくつろげる空間を設えました。そこには地元スタッフの方が金土日の週末に常駐してもらっています。ごったがえすほど賑わうことは考えていません。「空いていて誰かがいる」という空気をつくることが大事です。「オオサンショウウオの幼生を発見したから、写真を缶バッジにして子どもに配りたい」、「オオサンショウウオのキャラクターグッズを作ったから見て欲しい」、「歴史資源を散策するウォーキングを企画したい」、「雪の風景写真を撮ったので見て欲しい」といった思いついたアイデアが届くようになりました。


佐用川リバーステーション

オオサンショウウオのキャラクターグッズ

  また、地元スタッフの方には、現地調査や地域の人と会話をしてもらって、その結果をホームページにアップしてもらっています。
 これらは決して新しい取り組みではありません。既存の活動や自ら取り組んでみたいと考えていたことが「かわまちづくり」の名のもとに集まり始めたのです。このリバーステーション機能は、そのまま地元の方が空き店舗を提供いただき引継いでくれることになりました。
 我々の佐用川との関わりは、始まったばかりです。計画書やビジョンを納品するだけでなく、具体的な取り組みを動かし、継続する仕組みづくりまでを地元に残そうと考えています。一番の悩みどころは“活動原資”ですが、今後も地域の方と様々なチャレンジをしていきたいと思っています。乞うご期待!
佐用川リバーステーション
http://sayo-river-station.seesaa.net/


佐用町のまちなみ

ウォーキングの様子

ウォーキングに参加した地域住民の面々