アルパックニュースレター168号
大学通り商店街の「劇場通りプロジェクト」
関西有数の総合大学である近畿大学は、本部キャンパスが東大阪市にあります。最寄駅の近鉄長瀬駅から大学西門までは、3つの商店街、100店舗以上で形成され、約800mの「大学通り」が学生街らしい雰囲気を今も醸し出しています。

大学通りの様子
大学通りを「劇場通り」へ
この商店街でも、以前に比べて学生街の雰囲気が薄れていっていると言われています。エリアによっては空き店舗のままの状態が続いていたり、商店街としてこれまで様々な活動を行ってきているものの、大学や学生、地域とのつながりがあまり出来ていないという課題を抱えていました。
こうした課題を解決するために、昨夏、3つの商店街関係者や地域住民、NPOで活動されている人なども入った場で検討が始まりました。議論の中で、この近くには、戦前、帝国キネマの長瀬撮影所があったこと、そもそも、商店街には「買う」だけでなく、「人が集う」機能があり、集うためには、「魅せたり」、「魅せられたり」という魅力づくりが大事である、といった意見が出されました。そして、大学通りの将来像として、「劇場通り」を掲げ、それを具現化する最初の活動に「CMコンテスト」が選ばれました。
その後は、実行委員会を立ち上げ、前述のメンバーのほか、近大の学生や先生も加わり、募集から説明会、一次審査、今年5月の最終審査まで、約半年にわたって準備が進められてきました。
なぜCMコンテストか
商店街のお店のCMコンテストというと、単なるお店の宣伝作品づくりと思われがちですが、ここには次のような思いが込められています。
「CM制作の過程を通じて、お店と撮影する側(学生や住民)のコミュニケーションが図られること」
したがって、CM作品を作りたいという応募者(主に学生)とお店のマッチングは、商店街側で積極的に取り組んでいただきました。
![]() 最終審査の様子(舞台は手作りです) |
![]() 閉会後、制作者・司会者・審査員が全員集合! |
CMコンテスト審査会
最終審査会は、ぜひ多くの人に見てもらいたいという思いから、公開型になりました。また、「地域」の方に来ていただくためには、審査だけでなく、よさこい踊り、落語、マジックショーなど、学生サークルのパフォーマンスの機会や、商店街のお店が屋台を出す企画も盛り込み、春祭りの一環として、CMコンテストの最終審査を企画しました。商店街が空き店舗を活用して2年前に開設した「いどばた広場」では、サブ会場として「懐かしの写真展」も開催し、大学通りでの回遊性が生まれることを期待しました。
当日は、R-1グランプリで準優勝を獲得し、テレビでも活躍されている芸人のエハラマサヒロさんと、東大阪のCATVでレポーターとして活躍されている欣ちゃんのダブル司会で進行していただき、制作者や審査員、観客も巻き込んだ絶妙のトークで、コンテストは大いに盛り上がりました。また、応募された作品はどれもすばらしく、審査員の方が点数を付けるのに、たいへん悩まれていたのも印象的でした。
実行委員会には、商店街関係者だけでなく、多様な人の関わりが生まれたことが大きな成果であると考えます。今回の取り組みをキックオフとして、次に向けてのアイデアが早速出てきており、これからの活動の広がりが楽しみです。
なお、最終審査に残った10作品は、YouTubeで自由に見ることが出来ますので、ぜひ、アクセスして力作をご覧ください。
http://www.youtube.com/user/ChinDonYa3#g/u
アルパックニュースレター168号・目次
ひと・まち・地域
- 精華町立ほうその保育所が完成しました/京都事務所 三浦健史・廣部出
- 田園都市論に基づき開発された西向日のまち/京都事務所 石本幸良
- 草津市における景観計画の策定にかかる基本方針づくり/京都事務所 石井努









