アルパックニュースレター176号

堺市南区で区民が主役のまちづくり

執筆者;大阪事務所/嶋崎雅嘉・岡崎まり

区民と区役所の協働事業

 堺市南区では、区民と区役所の協働によるまちづくりの取り組みが進められています。
 その主体である「区民まちづくり会議」では「交流班」「魅力班」「安心班」の3つの部会ごとに、区民主体の様々な取り組みが企画されています。
 今回、この秋に行われた2つのイベントについてご報告します。

こおどり・みのり・秋めぐりツアー

 10月7日(日)には、魅力班の企画により「こおどり・みのり・秋めぐりツアー」が開催されました。
 魅力班では南区の魅力を内外に発信するために、情報だけでなく、実際に訪れて体験してもらうウォーキングツアーを実施しています。
 今回のツアーのタイトルにもある「こおどり」とは、無形民族文化財にも指定されている伝統のおどりです。堺市唯一の国宝である桜井神社の拝殿の前で奉納されます。
 今回、ツアーに同行していただいた郷土歴史家の桧本さんの講座によると、「こおどり」の名前の由来は様々であるが雨乞いのための「乞う踊り」であろうとのこと。
 ゆっくりとした独特のリズムの踊りを見ていると、鎌倉時代から脈々と、受け継がれてきた地域の歴史と住民の思いを感じます。

区民発の取り組みであることの魅力

 ツアーは、桜井神社での見学のあと、黄金色に染まる田園風景の中を歩き、法道寺・国神社へ向かいます。ここでは泉田中のだんじりの巡行と、先ほどの「こおどり」の一行が合流し、だんじりと踊りの迫力ある掛け合いが始まります。
 このような光景が繰り広げられていることは堺市内でも知らない人が多く、今回のツアーのように区民発の取り組みであるからこそ伝えられる魅力です。
 当日の様子を実況中継したツイッターのまとめがありますので、ぜひご覧ください。
http://togetter.com/li/390834


無形民族文化財に指定されているこおどり

だんじりの巡行

田んぼにGO 畑にGO

 10月21日(日)には、交流班の企画により「田んぼにGO 畑にGO」が開催されました。
 この事業は「旧村とニュータウンとの地域交流」を目的に実施しており、今年で3年目になります。当日は天気にも恵まれ、清々しい秋晴れの中、66組(196人)の家族が稲刈り・サツマイモ掘り・枝豆取りを体験しました。
 当日は地域の農に携わっている方々や農業ボランティアの方等が、稲刈りやサツマイモ掘りなどの指導、体験後に参加者に振る舞う焼芋や枝豆の準備を手伝ってくれており、多くの方との協働のもとで事業が、実施されています。

田んぼの中で音楽会

 3年続いているこのモデル事業は「地域間交流」を目的に実施してきましたが、今年度は参加者同士の交流や多世代交流に繋がることも何か実施できないかと話し合いを進めてきました。
 そして新たな試みとして、稲刈り等の体験後に「田んぼの中で音楽会」を開催しました。
 田んぼにGO 畑にGOへの参加条件が小学生以下の子どもがいる家族となっていることから、その枠に入らない中学生等に出演を依頼し、音楽を通した多世代交流を実施しました。
 当日は3団体に出演していただき、南区内にある三原台中学校吹奏楽部による演奏やポイや水晶玉といったジャグリング道具を使ったパフォーマンス、和太鼓演奏をしていただきました。演奏が始まると、普段はあまり直接見たり聴いたりできない迫力ある演奏に引き付けられて、子ども達が舞台そでまで集まってきました。水晶玉を使ったパフォーマンスでは、「何で浮いて見えるのかな?」と不思議に思った子ども達が思わず舞台の横まで見に来たりと、3団体それぞれのパフォーマンスに会場中が笑顔につつまれました。
 昨年度までは、稲刈り等の体験が終わると家族ごとに焼芋などの試食をしてばらばらと帰っていましたが、今年は音楽会を行ったことで参加者全員が音楽に合せて手拍子をするなど会場全体に一体感が生まれ、家族の垣根を越えた交流が生まれたように思います。 
 交流班では、今後、地域間交流だけでなく、多世代交流等への取り組みにも力を入れていきたいと考えていることから、今回試験的に実施した「田んぼの中で音楽会」をきっかけに様々な活動を展開していきたいと思います。


稲刈りの様子

田んぼの中で音楽会