アルパックニュースレター181号

「隠れキリシタンの里 千提寺さと巡り」を開催しました

執筆者;地域再生デザイングループ 岡崎まり・中塚一・嶋崎雅嘉

隠れキリシタンの里“千提寺”

 茨木市北部地域に位置する千提寺は、歴史教科書にも掲載されているフランシスコ・ザビエルの肖像画(神戸市立博物館所蔵)が発見された隠れキリシタンの里です。明治6年に禁教令が解かれてからも大正8年に隠れキリシタンの里として発見されるまで秘教形態が守り続けてられてきたこの土地には、その頃と変わらない緑豊かな風景が今も息づいています。
 しかし、今、この地域に大きな変化が訪れようとしています。現在、建設中の新名神高速道路が集落内を横断しインターチェンジも出来る予定となっているからです。

まちの魅力を伝えるために

 新名神高速道路の建設は、これまで地域の原風景として育んできた自然環境を大きく変化させてしまう懸念があります。しかし一方で、今後多くの観光客が訪れる可能性を秘めており、地域の魅力を伝えられる良い機会になると考えられます。
 そのため、地域の人たちは道路整備が進められている間にまちの魅力を再発見し、多くの人にその魅力を伝える技を磨こうと、今年度の4月に実行委員会を立ち上げて動き出しました。アルパックはその活動のサポート役として係わらせていただいています。

「隠れキリシタンの里 千提寺さと巡り」の開催

 実行委員会が立ち上げられた後、何度も話し合いを重ね、9月14日に第1回目となるイベント「隠れキリシタンの里 千提寺さと巡り」を開催しました。
 このイベントは、集落内を散策する「隠れキリシタンの秘密を解明せよ!」と、田んぼのあぜ道を竹灯篭で灯す「隠れキリシタンの夕べ」の2本立てで行いました。
 「隠れキリシタンの秘密を解明せよ!」に向けては、集落に残るキリシタンゆかりの場所を結び、約2時間半の散策ルートを作りました。散策ルートにはキリシタン墓碑が発見されたクルス山なども含まれていたことから、足元が滑りやすい山道などではロープで手すりを作ったり、木で階段を作るなどの整備が地元住民の手で行われました。
 当日は、より興味をもって説明を聞いてもらえるようにクイズを5問出題し、それを解きながら集落内を散策してもらいました。
 参加者からは「案内が丁寧でわかりやすかった」や「自然に癒された」、「手作り感がよかった」といったうれしい感想をいただきました。
 また、「隠れキリシタンの夕べ」では秋の虫の声が聞こえる中、やさしいろうそくの光が暗闇に灯り、「きれいやね」という声が色々なところから聞こえてきました。
 これら2つのイベントのほかにも、集落で採れたヤマモモやキンカン、カボスでつくったジャムを使ったお菓子が振る舞われたり、地域で採れた野菜の販売、千提寺の風景や行事を伝える写真展なども同時に行われました。


「隠れキリシタンの秘密を解明せよ!」での案内の様子

散策の様子

クルス山への案内板

キリシタン墓碑

今後に向けて

 第1回目のイベント終了後、既に反省会や今後に向けての話し合いが進められています。地域の魅力を発信するためには、単発のイベントではなく、継続的な活動が重要です。
 そのために、千提寺の地域住民は既に次に向けての面白い企画を検討しています。早ければ春ごろに!!それまで楽しみにしていてください。


隠れキリシタンの夕べ