アルパックニュースレター181号

まちなかに響く「阿波おどり」の音色

執筆者;公共マネージメントグループ 高田剛司

 「阿波おどり」は、日本三大盆踊りの一つで、400年の歴史を持つ徳島発祥の伝統芸能です。毎年8月12日から15日までの4日間、期間中の徳島市の街なかは、1,000近くの連(阿波おどりを踊るグループ)、約10万人の踊り子、約120万人の聴衆が全国から集まってくると言われています。特に、夕方以降は、駅から阿波おどり会館を結ぶ道路などの主要道路の一部が歩行者天国になり、演舞場やおどり広場と合わせて、さながら街全体が踊りの舞台に変貌します。今夏、その熱気を初めて体験しに行きました。
 写真1は、通常は公園ですが、阿波おどりの期間前になると臨時の観覧席が設置され、祭り当日は有料演舞場となる「藍場浜演舞場」です。有名連や企業連が次々と踊りを披露していきます。
 写真2は、中心市街地の商店街内で仙台から参加した連が踊り歩いてきたところです。


写真1:藍場浜演舞場

写真2:東新町1丁目商店街

 写真3は、歩行者天国となった新町橋周辺の様子です。多くの連が集結し、阿波おどりを繰り広げていきます。
 ところで、これだけの踊りを披露するには、練習時間も相当確保しなければならないでしょう。徳島の人に聞くと、阿波おどりの練習風景は6~7月頃から街なかで見られるとのこと。
 今年の5月から、徳島市をたびたび訪れていますが、なかなか、その「現場」に巡り会うことができませんでした。ようやく遭遇できたのは、8月1日の夜8時半頃。徳島のシンボル「眉山」からJR徳島駅までを歩く途中、新町川を渡る手前で阿波おどりのお囃子が聞こえ、見ると、川沿いの広場で若い男女が練習に励んでいました(写真4)。さらに歩を進めると、他の場所からもお囃子が聞こえ、街中で阿波おどり本番前の高揚感が体験できます。
 このように、街中で聴こえてくる鳴り物の音色や、間近で見られる踊りの風景は、そのまちの文化に触れられた気がして、とても得をした気持ちになります。そういえば、伊勢市では、商店街のアーケードで、地元の子どもたちが木遣りの練習をしていました。
 昔から行われてきたように、公共空間を文化伝承の場として、みんなでもっと利用すれば、人々はまちに繰り出し、「豊かな」暮らしを手に入れられるのではないでしょうか。


写真3:新町橋周辺

写真4:新町橋東公園での踊りの練習風景