アルパックニュースレター186号

再生可能エネルギーと木材、新たなコラボレーションの取り組み紹介

執筆者;環境マネジメントグループ/中川貴美子・畑中直樹・大友康博 建築プランニング・デザイングループ/三浦健史

地域で進む再生可能エネルギー導入と求められるエネルギー以外の視点

 2012年7月に固定買取価格制度がスタートし、再生可能エネルギーの導入が地域で進んでいます。一方で、太陽光については水面利用など新たな適地探しや、エネルギー確保だけでなく地域の自立や産業等、様々な視点で再生可能エネルギー導入について検討をしていくことが課題となっています。
 アルパックでも、各地の温泉熱、木質バイオマス、太陽光、小水力活用の事業(導入支援等)をお手伝いしていますが、その中で、大阪府木材協同組合連合会をはじめとした大阪府下の木材加工事業者、電機メーカー、水環境機器の設計・製作会社、港運会社の方々と連携して取り組んだ新たな試みについてご紹介します。

はじまりはスマートコミュニティ検討

 2011年度に「水都大阪(平林地区)」での貯木場への太陽光・風力・潮力の導入による「臨海地区木材産業地区」スマートコミュニティ事業化の検討調査をきっかけにスタートしました。本事業では、当初の目的である貯木場(=遊休地)の活用に加え、「新たな木材用途開発」「建築面への活用」という2つの視点が加わり、モデル実証を行いました。

調整~施工まで。貯木場へのフロート木製架台太陽光発電。

 貯木場へのフロート木製架台太陽光発電は、平林地区(約1.7kW)、岸和田地区(約7kW)2地区に異なるタイプのものを設置しました。 検討にあたっては、「木材の歩留まりを高めるサイズ(4m)」を基本とし、メンテナンス性の検証や今後の展開パターンの多様化のため、「バッテリー等の電気制御系について地上と水上の2パターン」としています。

環境配慮の取組PRの一役!?太陽光パネル付木製仮囲い

 水面の他に、「壁面」も太陽光設置の新たな活用場所として期待されています。そこで、「工事仮囲い」への太陽光発電パネル(シースルー)付木製仮囲いの開発・設置を行いました。設置にあたっては、木材加工業者の方とぎりぎりまで仕様の検討を重ねましたが、仕上がりはなかなかインパクトのあるものとなっています。透明の仮囲いや緑化の工事仮囲いなど、様々なタイプが設置されていますが、今後は太陽光パネル付木製仮囲いも環境配慮の取組PRの一役を担う日が来るかもしれません。
 今後、モニタリングをしながら、メンテナンス性や市場性について関係者で検証を行っていく予定です。


雨降りしきる中での設置作業。施工も担当

岸和田地区、電力は水上ポンプと LED照明に使用

平林地区・夜間の様子。水上に電気制御系も設置。電力はLED照明に使用

改修中の大阪府庁の工事現場に設置した太陽光パネル付木製仮囲