アルパックニュースレター164号
アート・イベント
『水木しげる・妖怪大図鑑』

ポスター
兵庫県立美術館にて『水木しげる・妖怪大図鑑』展が開催中です(10月3日まで)。今年はことさらに暑いのでお化けや妖怪ネタで涼しくなろうという訳か、NHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』の人気の影響か、美術館の来場者も10万人を突破し、なかなかの盛況ぶりのようです。
「たかが妖怪」「鬼太郎なら子ども向け」などとあなどるなかれ。水木氏の描いた88種類の妖怪の原画が展示されており、その妖怪の生まれや特徴などが解説されています。一つひとつ妖怪を学んでいく(図鑑なので)楽しさもさることながら、驚かされるのはその画力のすごさです。一見すると妖怪の絵に目を奪われがちですが、その背景に描かれている自然の風景や町並みの様子は実に繊細に、木の葉の一枚一枚まで、竹の一本一本まで丁寧に描かれ陰影がつけられており、「とてもペン一本で描いたとは思えない」と感嘆するばかりでした。中には水墨画や点描画にも引けを取らないと思えるようなものもあります。その点ではまさに芸術作品であり、美術館で展覧するのも納得です。
老若男女に人気のようですが、展示を見て楽しんでいるのは大人が多いようです。「あの人は絵として鑑賞」、「こちらは妖怪ファン」、「実は『ゲゲゲの女房』ファン」など、観覧者を観察するのも楽しめます。
最後には(ミュージアムショップというより)お土産コーナーもあり、境港などからの出張販売が好調です。「鬼太郎」の産直といったところでしょうか。
ところで、妖怪の説明によると、人間にいたずらをして喜ぶ妖怪もいますが、人間の恨み、つらみ、憎悪などから生まれた妖怪が意外に多いのです。人間とは別物と思っていたので少々驚きました。妖怪は、人間の内面にある悪や負の部分を、目に見えるように表現したものなのかもしれません。つまり妖怪は人間の本性なのでしょうか。でも、人間には愛情や慈悲・感謝など良や正の面もあるだろうに、それらからからは何も生まれないのかな?などと考えてしまいます。








