アルパックニュースレター166号

企業立地セミナーが開催されました

執筆者;大阪事務所 柳井正義

 「2010年度企業立地セミナー IN KANSAI」が2月3日、国民会館武藤記念ホール(大阪市中央区)にて開催されました。本セミナーは近畿経済産業局が毎年主催しているもので、今回はアルパックが企画運営を受託しました。
 今年は「逆境を乗り越える新時代の企業立地」をテーマとして、企業立地に取り組む自治体職員や関係機関の方々を対象に、基調講演2本と自治体の事例紹介3本ほかのプログラムを企画しました。

隣り合う自治体との連携

 基調講演1では(財)日本立地センターの徳増秀博常務理事より「変容する経済環境下における企業立地の動向」と題したご講演をいただきました。企業立地促進のポイントとして、隣り合う自治体はライバル意識を持ちやすいが、複数県や複数市町村の連携が必要、また地域外からの誘致だけでなく既存立地企業のサポートが重要、といったお話をいただきました。

立地後のアフターフォローも大切

 基調講演2では、最近成長著しい二次電池用正極材メーカー、(株)田中化学研究所の田中保社長より「企業から見た地域の魅力と立地支援策」と題したご講演をいただきました。自治体は誘致の際は熱心だが、企業にとっては将来に亘りそこで操業し続けられることが重要なので、立地後も気にかけてほしいというコメントもいただきました。

3つの事例紹介

 事例紹介1では、長浜市商工振興課の川瀬智久主幹より「産学官連携によるバイオ産業の集積形成」として、単なる企業誘致だけでなくインキュベートおよび地元企業との連携まで含めたバイオ産業振興策をご紹介いただきました。
 事例紹介2では、尼崎市産業立地課の岸本浩明課長より「地域特性に応じた工場用地の開拓と活用の促進」として、土地が少ないなかで工場立地法の特例措置を活用した用地の確保や、不動産業者との連携事例をご紹介いただきました。
 事例紹介3では、紀の川市企業立地推進課の柑本貴可主幹より「地域資源活用型産業の企業誘致と産学官連携による地域活性化」として、農水産品などの地域資源を活用できる食品産業の立地と、誘致企業と地域を結びつける産学官連携の事例をご紹介いただきました。
 京都学園大学の大西辰彦教授にはコーディネータとして、各講演へのコメント、総括を行っていただきました。
 当日の参加者は府県・市町村の職員だけでなく、商工会議所・商工会や産業支援機関、金融機関からも多数参加があり、約200名に上りました。会場定員を上回るほどの盛況ぶりで、地域における企業立地に対する関心の高さが表れていました。

地域づくりの一環としての企業立地

 平成19年施行の企業立地促進法は地域の主体的かつ計画的な取組みを支援するとしており、各地で同法に基づき基本計画が策定されましたが、いわゆるリーマンショックで各地の企業立地は停滞気味です。
 アルパックでは今回、企業立地セミナーの企画運営とあわせて、企業立地促進法に基づく基本計画の進捗に関する調査も受託しています。本セミナーとその調査を通じて感じることは、企業立地は自治体による単なる誘致活動ではなく、地域づくりの一環ということです。役所内での産業振興部門と都市計画部門はもとより、商工会議所あるいは地域金融機関、地域の産業界なども巻き込んで、地域の将来像を一緒に見据えながら、日々の取組みで連携していくことが重要と感じています。


多数の参加があったセミナー