アルパックニュースレター166号

さかい緑のフォーラムが開催されました

執筆者;大阪事務所 絹原一寛

 昨年の11月28日、堺市の南部の緑を守り、次世代に継承していくことについて考えるさかい緑のフォーラム「緑と堺と人と音」が開催され、我々もお手伝いをさせていただきました。
 堺市は都市化が進み、まとまった緑は南部の丘陵地にしか残されていません。フォーラムは、その保全の価値や意義をいろんな角度から見いだしていこうという趣旨で開催し、約850人の方に来場いただきました。
 第1部は堺市出身・在住ののこぎりアーティスト、サキタハヂメ氏の演奏会。笛にも似たような哀愁あふれるのこぎりの音と、軽妙なトークで、独自の世界に惹き込まれました。
 第2部は堺ゆかりのみどりのアーティストが次々と登場、「緑と音」「伝統産業」「地域の伝統文化・自然環境」をテーマに対談を行いました。これらの対談から紡ぎ出された「言の葉」(キーワード)を集め、主催者である堺市都市緑化推進協議会から「さかい緑のメッセージ」を発信しました。


緑のメッセージ

緑のメッセージ

 会場の外では、緑にゆかりのある伝統工芸として、和泉木綿の織物体験やしめ縄づくり体験、線香の展示などの体験コーナーが催され、多数の子ども連れでにぎわいました。
 アーティストの皆さんに共通していたのは、堺のまちに対する深い愛情です。分野は違えど、それぞれの取り組みの中で堺というまちを良くしていきたいという熱い想いが十分伝わってきました。
 また、便利すぎる世の中になった一方で、失ったものもあるという警鐘も発せられました。地元の方が昔のことを回想され、「かつては学校からの帰り道は遊び場で、寄り道しながら帰ったものだ」「地域にはそれぞれの『におい』があり、すぐかぎ分けられたのだが、最近は無くなった」とおっしゃっていたことが印象的でした。
 今回のフォーラムでは、見るだけではなく、五感で楽しめるプログラムも用意され、子ども達にも大人気でした。そうした感覚の大切さもメッセージとして伝わったのではないでしょうか。
 来場者のアンケートでも南部のまとまった緑を「保全すべき」との回答が多く挙げられており、メッセージが届いたのかなと感じています。今回のフォーラムが次なる一歩へとつながることを期待したいと思います。


みどりのアーティストとの対談

子供たちでにぎわう体験コーナー