アルパックニュースレター171号

篠山想いがたりプロジェクト
~映像を通じてまちのアイデンティティを探る

執筆者;大阪事務所/森岡武・絹原一寛

篠山市は兵庫県にある田園風景が広がる盆地のまちで、阪神間から1時間弱で行けることから、年間を通じ多くの観光客が訪れます。こうした篠山市の魅力をPRする映像を作るプロジェクトに参加しています。数多くの資源があるまちなので普通に撮っても観光PR映像として十分成立するのですが、私たちは一歩踏み込んで映像を通じたまちづくりの新しい可能性が拓けないか、模索しています。

カメラを持ってまちの人に出会う~偶然も楽しみながら

今回、撮影者がカメラを持ってまちを自由に動き回り、出会う人々に声をかけ、お話に耳を傾けながら、映像を撮り、それらをつないで作品としてまとめる方法を採り入れています。
撮影者の話では「カメラを向けても皆優しい感じで『何してんの?』と話しかけてくれる」そうです。人の懐の広さ、温かさも篠山を訪れたいと思う大事な要素なのだと思います。
また、興味深いのは、地元の方々が様々な「うんちく」をカメラに向けて話してくれていること。「枝豆はもう少ししたらプクッと膨らんでくるんやけどな」とか。地域で交わされている何気ないやりとりを拾っています。その過程もまちづくりの一環だと考えています。


クリエイティブカフェ

クリエイティブカフェ~映像を通じて篠山の本質を捉える

今回の映像に対する我々の思いは「映像を通じて篠山の本質を伝えたい」。表層の景色だけではなく、その背後にある歴史、文化、気配、暮らし、人々の思い・・・篠山を篠山たらしめているものを映像で明らかにし、皆さんに伝えたいと考えています。そのため、映像ディレクターの奥村恵美子さん(クリエイティブハウスおくむら)と制作に取り組んでいます。奥村さんは日本の自然や生活文化を映像で表現する仕事を数多く手がけられており、日本の文化的アイデンティティを映像で追究する団体JICPの代表も務めておられる方です。
また、篠山で活躍する様々なお立場の人々と映像を見ながら「篠山らしさ」を語り合う「クリエイティブカフェ」を開催しています。映像や音に刺激され、篠山の素晴らしいところを語り、その言葉を手がかりに映像を集める。この「想いがたり」の作業を繰り返すことで、本当に知ってほしい、あるいは参加者自身が知りたい「This is 篠山」に近づけるのではと考えています(大変難しい作業ではありますが)。




映像によるまちづくりの可能性

これら一連の手法はたとえば景観まちづくりなどでも使えると考えています。景観の価値をどう住民が共有するのか、は各地域で課題となっています。そこで、外部の人が交流を重ねながら一連のストーリーを持った映像として整理し、映像を介して対話を重ね、住民が自らのアイデンティティに気づいていく。こうした過程で生まれた映像はいわば「見える景観計画」というべきものだと思います。




篠山想いがたりプロジェクト進行中

これから、この映像を使って、大阪などで篠山をPRする「クリエイティブカフェ」を開催したいと考えています。篠山の映像を見て、五感を刺激する音楽、食材なども堪能しながら、篠山の魅力を味わう。そんな機会ができればと考えています。
さらに、この映像は外国語テロップも作成しますので、海外にも「SASAYAMA」を発信していきたいと目論んでいます。きっと外国の方も篠山に日本の魅力を見出されるのではないでしょうか。 途中段階の映像はYouTubeにて配信していますので、皆様もぜひご覧ください。URLはこちらです。ご意見など伺えれば幸いです。
http://tourism.sasayama.jp/omoigatari/
(または、「篠山想いがたり」で検索)