アルパックニュースレター200号
200号発行を迎えて
200号発行を迎えて
1983年7月に0号を発刊したニュースレターは、今号で200号を迎えました。
0号には以下のように記載しています。
◆ニュースレターは、ARPA・K-地域計画・建築研究所とその人間に興味をお持ちになっている方、ひとこと文句を云ってやろうと思っていらっしゃる方のための“受像器”です。はじめのうちはワンウエイで雑多なニュースをうつし出しますが、そのうちリクエストもお受けし、取材にも走って現場のナマニュースも登場するでしょう。勿論、寄稿もお受けします。
◆ARPA・Kのことをシンク・タンク、コンサルタント、設計事務所何とでも呼んで頂いて結構ですが、とにかくこの種の仕事は人と人とのふれあい、情報と情報の交流こそフロンティアがあると思っています。
この思いは今日でも変わりません。今後もフロンティア精神を持って皆さんにニュースなレターをお届けします。
さて、今号の「200号特集」では、編集委員が過去の記事で印象深かったものを紹介しています。それぞれの記事も掲載しますのであわせてお読みください。
ニュースレター編集委員会
坂井信行
私がはじめてニュースレターの記事を書いたのは47号のまちかど「梅田LOFTのパンクなサイン」でした。梅田LOFTがある茶屋町界隈は、今は再開発が進んで多くの商業施設が立地する賑わいのエリアになっています。その先鞭をつけたのが1990年に開店した梅田LOFTであることは間違いないでしょう。時はバブル末期、古びた住宅が並ぶ路地を抜けてようやくたどり着く「こんなところに?」という場所に開店したLOFTは新たなまちの展開を予感させるものでした。
記事の中では、LOFTのロゴがバラバラになる動きのある壁面サインを「パンク」と表現しています。面的展開を見せるミナミに対して、箱庭的なキタの退屈さを揶揄するものであるという深読みも。そして、古いものを排して常に新しいものを創り出す新陳代謝のエネルギーを発散し、これからが期待されるまちのアイデンティティ創出に一役買っていると締めくくっています。
これまで、まちかどの記事は何度も書いてきましたが、何気無い日常の風景を深読みして意味付ける、というスタンスで書いた最初の記事として懐かしく思い出しました。
ニュースレター47号(PDF)![]()
鮒子田稔理
ニュースレター0~199号の中で私が一番印象に残っている記事は121号の「大阪特集」です。実はこの前の120号でたまたま京都関連の記事が多く集まったので「京都特集」を組みましたが、「それなら次号は「大阪特集」をやろう」ということで、編集委員のやる気スイッチが入ってしまったのです。「大阪を七感で楽しむ」と銘打ち、それぞれのテーマを持って大阪のまちに繰り出しては興味深いことを拾い集め、日々の業務の合間を縫って記事を書くということにしばらく没頭した記憶があります。
私は「嗅ぐ」というテーマで鶴橋~コリアタウン「聴く」で大正区のリトルオキナワを紹介しました。どちらも当時10年以上大阪で仕事をしながらあまり訪れていなかった場所でしたので、自分自身も新たな発見にワクワクしながらその雰囲気をお届けできたのではないかと思っています。
同じく「嗅ぐ」をテーマに「くすりの香りと近代建築の香り道修町界隈」も紹介しています。15年後にその近辺へ事務所が移転することなど思いもよらぬことでしたが、これも何かの縁を感じます。
ニュースレター121号(PDF)![]()
嶋崎雅嘉
ニュースレター200号という節目の号を発刊するにあたって、これからまた新しいニュースレター、新しいアルパックを考えていく必要があると思い、あらためて第0号の記事を読んでみました。
第0号は1983年に発行されています。アルパックができて17年目、名古屋事務所の創設を契機としてスタートしました。
この当時から都市計画コンサルタントとして「地域発展のための新しい事業づくり」が社会から要請されているということや、コーディネート(調整して進行させる)の重要性を指摘する文章があります。
今の時代、「事業」の内容や主体、進め方のバリエーションも広がってきている中で、33年経っても同じ悩みと課題をかかえてチャレンジしているのだなと思うと、当時の執筆者に親近感を覚えます。
アルパックが考えてきたこと、悩んできたこと、取り組んできたことがニュースレターに刻まれていることをあらためて認識しました。
ニュースレター0号(PDF)![]()
中村孝子
私が入社当時、京都新聞では創刊110年記念企画として「新・都の魁」を連載していて、アルパックがお手伝いしていました。一年企画の連載は、著しく変貌していく「今」の京都の町を書き残すことを目的として、寺町通、四条河原町、清水産寧坂、錦市場などが紹介され文章だけでなく町のカットを見るのも毎回楽しみでした。ニュースレターでは33号と39号で取り組みの背景や担当所員の思いなどが紹介されています。
新聞の紙面やニュースレターの表紙を飾った緻密なカットは、所員が日常業務を回しながら、町を何度も歩き、事前調査をして描いていた記憶があります。しかも当時はロットリングで。個性あふれる作品を通して、建築士というものは、文才だけでなく画才もあるんだなぁと改めて実感させられるだけでなく、まず現地に足を運び調べるという仕事の基本を学ぶ機会になりました。連載終了後、「新・都の魁」は書籍として発行されました。27年経った今日、京都の町はさらに大きく変貌しています。当時の景観と比較する上でも貴重な町の紹介本で今でも手にとります。
ニュースレター33号(PDF)
ニュースレター39号(PDF)![]()
長沢弘樹
今回、よい機会なので、創刊当時からのニュースレターを眺めてみました。
環境(廃棄物)に関する記事が初めて登場したのは、第3号(1984年)でした。京都市のごみ組成調査の話題です。その後は、ごくまれに触れられるという時期が続きます。それが、1998年には、前年の12月に京都市で気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)が開催されたこともあり、当時の三輪会長の記事に私の指導教官であった内藤正明先生の講演が取りあげられるなど、アルパックでも環境への関心が一気に高まったように見えました。
その後は、環境関連の記事の枠も広がり、近年では他の分野でも環境に配慮した計画なり事業なりが一般的になったこともあり、「環境」が広く取り上げられるようになってきたと思います。
ニュースレターを見ていて時代の変化を感じられるというのは、アルパックがその時代に課せられた課題の解決に取り組んできたことを示しているのだと思います。今後も、そういった役目を担うニュースレターでありたいと思いました。
ニュースレター3号(PDF)
ニュースレター90号(PDF)![]()
武藤健司
いまから10年近く前のことです。当時大学生(就活生)の私は、コンサルタントの役割や業務内容の話を伺うため、アルパックを訪ねました。その時に、会社案内と一緒に受け取ったものがニュースレターでした。最新号から特集号までどれも新鮮で、アルパックの仕事とともに、所員の働く姿がイメージできた思い出があります。
紹介を受けた記事の1つに、94号「日本とドイツの家庭ごみの比較調査」がありました。実際に現地でごみの排出実態を調査し、使い捨て容器包装などの比較を社会システムや生産・消費動向とともに分析するという内容です。現場に入り込んで得た情報をもとに、社会に伝える姿勢に魅力を感じ、自分も携わりたいと思ったことを記憶しています。
そして今となっては、私のもとに学生が訪ねてくる機会があり、同じように、自分が執筆したニュースレターも活用して仕事紹介をすることがあります。このように、ニュースレターは、若い世代に伝えるツールとしても、これまで(そしてこれからも)活用されているのだと感じます。
ニュースレター94号(PDF)![]()
アルパックニュースレター200号・目次
特集「200号発行を迎えて」
- ニュースレター編集委員会/坂井信行
- ニュースレター編集委員会/鮒子田稔理
- ニュースレター編集委員会/嶋崎雅嘉
- ニュースレター編集委員会/中村孝子
- ニュースレター編集委員会/長沢弘樹
- ニュースレター編集委員会/武藤健司
ひと・まち・地域
- 流山市で「3層の高度地区」導入/東京事務所 野口和雄(都市プランナー)
- 伝承譜 その5~京都駅ビル20年―地域社会のユメを拓く/名誉会長 三輪泰司
- 地域に寄り添って地方創生を考える その18~企業誘致が成功した人口増加自治体の補完的考察/代表取締役社長 森脇宏
きんきょう
- 「体験交流型」で摂津峡に新たなムーブメント!/地域産業イノベーショングループ 武藤健司・片山麻衣
- 今年もファミフェスやります!at南港ポートタウン/地域再生デザイングループ生活デザインチーム 嶋崎雅嘉・戸田幸典 都市・地域プランニンググループ/橋本晋輔
- 「働き方改革についての事例報告と自由討議」を開催しました/杉原五郎 代表取締役会長・都市計画コンサルタント協会理事







