アルパックニュースレター159号
戸田漕艇場の風景
戸田漕艇場は埼玉県戸田市の南部、荒川のほとりにあります。東西方向が約2,500m、南北方向が約300mの細長い静水域で、東京オリンピックのボート競技の会場となった場所です。歴史をひもとくと、何と1940年の幻の東京オリンピックのためにつくられたという由緒正しいボートコースです。オリンピックの後は県営戸田公園として整備されていますが、もちろん今でも全国にその名を馳せるボート競技のメッカです。
水辺には大学や実業団の多くのクラブの艇庫が建ち並んでいます。実は漕艇場の西側には戸田競艇場が隣接しており、こちらも有名です。ある市民の方はおっしゃいました。「どちらにお住まいですか?」と訪ねられて「戸田です」と答えた時に「ああ、競艇場のあるところですね」と言われるより「ああ、ボートコースのあるところですね」と言われる方がうれしい、と。いずれにしても戸田はボートのまちなわけです。
観客席のあるボートコース南側は芝生の斜面と艇庫、西側には桜並木もあり、気持ちのよい水辺の散歩道としても非常に人気のある場所です。少し専門的な話になりますが、戸田市景観計画では県営戸田公園を景観重要公共施設に指定しています。重要な景観資源として行政としても位置づけの高い場所ということです。先頃、戸田市では「つたえたい戸田の風景」の写真募集が行われ、私たちもお手伝いをさせていただきました。入賞作は現時点ではまだ発表されていないのですが、応募された写真には漕艇場を写したものが一番多かったように思いました。
今回、この記事を書くにあたって改めて漕艇場を訪れてみました。JR戸田公園駅からゆっくり歩くと15分ぐらいかかります。途中、艇庫の中で競技用のボートをメンテナンスしている風景に出会いました。この建物はボートコースの水辺に建っており、水辺側と反対の道路側の両方からアクセスできるようになっています。道路を歩いていて突然、ボートが見えた時には新鮮な感激がありました。ボートコースの水面を中心とする水辺の風景の印象があまりに強かったためでしょうか。陸側から見た漕艇場は私にとってとっておきの風景になりました。

艇庫が建ち並ぶ水辺の風景
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アルパックニュースレター159号・目次
新年の挨拶
特集「水辺とまちづくり」
- 水辺のアート発信地“クリエイティブセンター大阪”/代表取締役社長 森脇宏
- 水都大阪2009とうんぱく2009~尼崎運河博覧会/大阪事務所 絹原一寛
- 大阪・天神橋を見下ろす「川辺の暮らし」/大阪事務所 柳井正義









