アルパックニュースレター175号

日本初のエンタメ「ギア」の継続と第2の「ギア」

執筆者;代表取締役社長/森脇宏


 外国人も楽しめる新たな観光コンテンツとして、「ギア」という演題のノンバーバルパフォーマンス(非言語の舞台劇)のロングラン公演を、4月から京都市内で開始しています。私が理事を務めているNPOの主催で、その趣旨や特徴等は今年3月発行のニュースレターVol.172で紹介済みですが、徐々に観客も増えてきており、さらに続けていく予定ですので、引き続きご支援ください。
 また、こうした新たな観光コンテンツとなりうる第2第3の「ギア」を育てるため、多くのプロデューサー等の方々と一緒にKCF(Kansai Creative Factoryの略称)と呼ばれる取り組みを進めています。現在、第2の「ギア」の候補について、支援方法を検討していますので、これらの取り組みにもご注目ください。

口コミによる広がる「ギア」の人気

 ギアの観客には、客席にアンケート用紙を据え置いて、ご記入をお願いしていますが、この回収率が80%と通常の舞台に比べて格段に高いことが特徴の一つです。しかも、その評価も「おもしろい」が87%、「ややおもしろい」を加えると98%と、たいへん満足度の高い評価をいただいています。こうしたことから、口コミでお客さんがジワジワと広がっているようで、アンケートで「ギアを知った情報源」をお聞きすると、「その他」が55%と圧倒的に多く、その具体内容としては「友達・知人から聞いた」などという記入が多くなっています。
 また、ギアは資金力の乏しいNPO主催ですので、広告費はありませんが、「外国人も楽しめる新たな観光コンテンツの創造」というチャレンジの趣旨をご理解いただいて、ご支援いただけるマスコミ等には、好意的に取り上げていただいています。特に、FM802のほとんどのDJの方々には観に来ていただいて、番組で「おもしろい」と話していただいていまして、アンケートの「ギアを知った情報源」という質問には「FM802で聞いて」という回答が「ラジオ」という選択肢だけでなく「その他」の中にも結構ありました。また、関西ウォーカーには、誌面やWEB上で何度も取り上げていただいています。
 こうした情報で来られた観客の多くは、従来のコアな舞台ファンではありませんので、前売り券を買わず、映画館の感覚で当日ふらりと来られて当日券で入場されている方が多いのも特徴の一つです。したがって、「ギア」公演の一番の目的は「外国人も楽しめる新たな観光コンテンツ」ですが、「新たな観客の開拓」という副次的効果も発揮しているようです。


出典:NPO法人ライブエンターテイメント推進協議会

9月からはジャグリングの参入

 ギアのキャストは、ヒロインのドール、パントマイム、ブレイクダンス、マジック、バトントワラー、と5つのパートに1人ずつ登場する形で構成されていました。このバージョンで4月から7月までのロングラン公演を続けてきましたが、新たなチャレンジとしてジャグリングが参入するバージョン2に9月から改定しています。したがって、これまでのバージョン1を既にご覧の方も、新たなバージョン2をぜひご覧ください。
 ギアの会場は、京都市の都心である三条御幸町にある「ART COMPLEX 1928」です。公演日時は、月・金・土・日・祝日は昼公演と夜公演の1日2回公演、火・水・木は休演となり、チケット代は、大人3800円、19~22歳&60歳以上3200円、4~18歳1800円とバージョン1より少しお安くなっています。詳細は、ギアのホームページに掲載されていますので<http://www.gear.ac/>、こちらのサイトをご覧ください。


ジャグリング
(出典:NPO法人ライブエンターテイメント推進協議会)

関西発のエンタメ産業を育てる仕組み

 元々「ギア」は、外国人観光客も楽しめる観光コンテンツの創造と、クリエイティブ産業の育成を目的として取り組んでいますので、第2第3の「ギア」が次々と登場し、産業として成立していくことが望まれます。このため、ブレイクする可能性があるコンテンツを、資金、会場、プロモート等の面から支援するKCF(Kansai Creative Factoryの略称)と呼ぶ仕組みを、近畿経済産業局のご支援をいただいて一昨年度と昨年度に検討してきました。今年度からは、多くのプロデューサー等の方々に集まっていただいたKCFサロンを設置して、第2の「ギア」の発掘や情報交換等のための会合を重ねています。

第2の「ギア」をめざしたチャレンジ

 現在、第2の「ギア」の候補として、「FAKEST(フェイキスト)」というストリートダンス・エンターテインメントが挙がっています。WRECKING CREW ORCHESTRA(レッキングクルーオーケストラ)というストリートダンス・ユニットが、ELワイヤーを使用して、CGのように光るダンスを中心に創作したパフォーマンスです。
 このダンスは、SONYのスマートフォン・XperiaのCMにも起用され、2012年2月にYouTubeにUPされて以降、半年間に1000万ビューを記録するなど、世界から注目されています。9月15日16日には、シアターBRAVA!(大阪市内)で公演され、多くの観客を集めて成功しました。大阪は世界でも有数のストリートダンスのメッカであり、有望なダンサーが多くいるという事実もあります。今後、観光コンテンツとしてビジネス化できるように、どのように支援していくかを検討していく予定です。こうした取り組みにも、今後ご注目ください。


FAKEST(出典:シアターBRAVA!ホームページ)