アルパックニュースレター182号
授産所の新しい仕事!
周藤さん、遠征して先生になる!
覚えていらっしゃるでしょうか。5年ほど前に、京都市伏見障害者授産所とのパートナーシップの下で、新たな事務系作業の授産事業を拓く試みを始めたことを記事にしました(第151号)。
その後、印刷会社さんの協力も得ながらアンケート調査に伴う業務を中心にお願いしてきており、軸になって担って頂いている周藤さんをはじめとする授産所利用者さんも、今ではすっかり職人気質。
さて、今般、私どもで岡山県倉敷市からアンケート調査が大量にある業務を受託しました。安全のため、回収票をあまり移動させたくありませんから、現地で入力等をお願いできるところを探さなければいけません。
そこで思いついて持ちかけてみました。「授産所からセンセイを擁して、ノウハウ移転やってみない?」こういう施設間の交流は、案外に乏しいんだそうです。
トントン拍子に話は進み……
授産所のほうでもパシリと膝を打って施設事業として起案&お骨折りくださり、岡山市内で就労継続支援B型事業所を運営されている特定非営利活動法人希望の会に、周藤さんが先生となってアンケート調査関連業務について講義に行くことと相成りました。エラーチェック機能を組み込んだ調査結果の入力フォームをつくるのも周藤さんですし、データを入力するのも集計するのも彼が中心。余談になりますが、ネジを小袋に入れる作業をしている別の利用者さんに入力元の回収票を繰ってもらって入力しているそうですが、入力が早くてネジのほうが仕事にならない!とボヤいているとかいないとか。センセイにはうってつけです。
テキは体調管理!
そんな周藤さんですが、岡山市まで行くというのは大変。彼には筋ジストロフィーの疾患があって、移動はもっぱら電動車いす。頭の座りを調整するのにも介助が要ります。外気温が体調にモロに影響しますので、暑過ぎても寒過ぎてもダメ。この遠征で、当日はもちろん、そのあとも体調を損なっては、数日後に控えたKARAのコンサートに行けなくなってしまいます(行って堪能した、とのコト)。季節的にもギリギリのタイミングで、10月22日に講義日程を組んで準備万端。
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名講義、開演。
当日、初めて名刺を渡した!という周藤さん。初めてプレゼンテーションソフトを使ったとは思えない、表やグラフも駆使したわかりやすい資料を用意されていて、テレビ局の取材もあるなか、岡山市希望の会特設講義会場でイザ。5年間で培ったノウハウをイチから丁寧に説明します。希望の会の利用者さんたち、「きちんとやれば、ちゃんとお金がもらえる」「これならできる」といった実感が得られたようです。普段はすぐ集中力が切れるという人も含めて、みんな目をキラキラさせています。しっかり聞いて、実際に入力作業をやってみて、質疑応答があって。充実した名講義でした。施設職員さん曰く「みんなこんないきいきした表情してる、涙が出そう」 帰りの新幹線では、周藤さんも付き添いの授産所職員さんも「ホッとした」「疲れた」を連発しつつも満足そうでした。
おわりに
約5年間、授産所と利用者さん、印刷会社さん、アルパックで一緒になって、小さく実績をつくり積み重ねて、少しずつ社内に拡げながら、業務、成果の品質と信頼、適正な相場をつくってきました。それを、このように別のまちに伝え拡げる力を発揮して頂けたこと、本当に嬉しく思っています。なんだかお礼をいうのも変かもしれませんけれど、関係者のみなさん、ありがとうございました。
アルパックニュースレター182号・目次
寄稿
ひと・まち・地域
きんきょう
- 上野千鶴子氏との公開対談をしました/竹井隆人 (政治学者、アルパック顧問、(株)都市ガバナンス研究所代表)
- 授産所の新しい仕事!周藤さん、遠征して先生になる!/公共マネジメントグループ 廣部出
- フォーラム「関西の食文化とフードツーリズム」が開催されました/公共マネジメントグループ高田剛司
- きっかけは、地域自慢を見直すこと/地域再生デザイングループ 森岡武
- エネルギーシフトと地域づくりを訪ねる旅/代表取締役会長 杉原五郎
- アルパックの経営理念を策定し、イメージロゴも作成しました/代表取締役社長 森脇宏









