アルパックニュースレター182号

何気ない「聖地」・西宮北口

執筆者;都市・地域プランニンググループ 坂井信行


 宗教的な意味合いで神聖視されている場所を「聖地」といいます。いわゆる総本山。「聖地エルサレム」とか「聖地メッカ」とか。最近ではパワースポットという言い方もあります。聖地という言葉は他にも「高校球児の聖地・甲子園」「オタクの聖地・秋葉原」といった使い方もします。また、映画やアニメの舞台となった場所や著名人にゆかりの場所なども「聖地」と呼ばれたりします。
 アニメの舞台となった場所は「アニメの聖地」と呼ばれ、全国各地にあります。アニメファンにとって、こうした「聖地」をめぐる「巡礼ツアー」は大きな楽しみでしょう。西宮市出身の谷川流原作の人気アニメ「涼宮ハルヒ」シリーズには、西宮市内の実在の場所を連想させる場所がたくさん登場し、それらの場所は「聖地」となっています。特に阪急西宮北口駅周辺には「聖地」がたくさんあります。
 写真の場所は北西出口を出たところのまちかどです。アニメでは主人公のキョンが自転車を「不法駐輪」する場所。ちなみにアニメの中では右側の角のビルに銀行が入っているのですが、残念ながら(?)今年の春に移転してしまいました。他にも北口駅(西宮北口駅)北側の改札出口は涼宮ハルヒ率いるSOS団のメンバーが待ち合わせに使った場所、そして近くには「いつもの喫茶店」もあります。この喫茶店のモデルとされる「珈琲屋ドリーム」は、この界隈でもアニメファンの間で特に人気の高い「聖地」となっているようです。
 これらの「聖地」はどれも一般の人にとってはおそらく見過ごしてしまうにちがいない何気ないまちかどです。それがハルヒファンの目には特別な「聖地」と映るのです。でも「聖地」とは本来そのようなものだと思います。普通のまちかども見方を変えるだけで輝かせることができます。「聖地」はその典型といえるのではないでしょうか。


「いつもの喫茶店」カフェドリーム