アルパックニュースレター192号

明石の本町商店街で景観ガイドラインを策定しました

執筆者;都市・地域プランニンググループ 橋本晋輔

 明石市では平成22年度に中心市街地活性化計画を策定して以降、中心市街地活性化の取り組みの一つとして継続して景観づくりに取り組んでいます。今回、その取り組みの一環として本町商店街が主体となり「本町商店街まちなみ景観ガイドライン」を策定しましたのでご紹介させていただきます。

大きく変わる本町商店街

 明石といえば明石焼きや魚の棚商店街、港から望む淡路島の眺望など、海に関する有名な資源がいくつかあります。しかし、それらの資源をにぎわいづくりに十分に活かせておらず、明石駅から南に行けば行くほど通行量が少ないという状況の改善が中心市街地の大きな課題となっています。明石駅からほんの10分ほど行けば海が見えるのですが、それを知らない方も多いようです。そのような中心市街地の南端に位置しているのが本町商店街です。
 本町商店街は歴史ある商店街で老舗の店舗がいくつか立地している他、1947年に開館した成人映画館「本町日活」もあり、どこかなつかしい雰囲気を感じさせる商店街です。その本町日活が大衆演劇場「ほんまち三白館」として今年の年末に生まれ変わることになり、その機会を商店街が変わる大きなチャンスととらえ、景観という切り口で商店街の個性化に取り組むことになりました。

商店街の「深み」を知ってほしい

 景観ガイドラインの検討は、本町商店街の役員を中心に行いましたが、話し合いは最初から難航しました。まず1回目の会議で出た意見は「商店街の目指すべき景観といっても業種も建物の意匠もバラバラだし、一括りにはできないよね」。商店街として目指すべき方向性を共有するのは当然のことですがなかなか難しいことです。それでも、景観づくりの具体的イメージを提示しながら議論を重ねることで、「個性的な専門店が多いこと」「歴史のある老舗があること」「地域の交流の場であったこと」が本町商店街の特徴であり、それを知ってもらうことが大切だということを共有することができました。ガイドラインでは、その専門性や歴史性を商店街の「深み」ととらえ、本町商店街の将来像を「深みが感じられる交流商店街」としています。
 ちなみに、「ガイドライン」という名前ですが冒頭の意見のように商店街として一律の規制をかけることには違和感があるという意見が最後まであったため、ガイドラインの中身は「必ず守ってほしいこと」(規制すること)と「できれば取り組んでほしいこと」(伸ばすこと)に分けて基準を示しています。


老舗が点在する商店街

「深みが感じられる交流商店街」という特徴を目指して

 さて、ガイドラインを作ることはできましたが、この成否はこれをいかに運用していくかにかかっています。これから改築等の申請があがるたびに、商店街がガイドラインを元に判断していくことになりますが、実際にガイドラインに適合しているかを判断するのは難しい作業です。地元の工務店の方も巻き込みながら運用していく仕組みを検討していますが、商店街側でも自分たちの目指したい商店街の姿とはどのようなものなのかをさらに考えていくことが必要になると思います。
 今回、景観という切り口ではありますが、個性的なお店で構成されている商店街という組織において、商店街の特徴が何で、目指すべき姿がどのようなものなのかを改めて考える機会ができたことに私自身は意義を感じています。ガイドラインは基本的に受け身なものですが、今後はこれを活かしながら、景観づくり、賑わいづくりの取り組みをいかに進めていくか、またそのための担い手をどうするかが課題になってくると考えています。ほんまち三白館がオープンするこれからが正念場です。これから変わっていく本町商店街に期待していただきたいと思います。


ほんまち三白館