アルパックニュースレター192号

初めてのミラノ、フィレンツェ、クラクフ~京都商工会議所会頭ミッションに参加して~

執筆者;代表取締役会長 杉原五郎

 このたび、京都商工会議所会頭ミッションで、ミラノ(イタリア)、フィレンツェ(同)、クラクフ(ポーランド)を訪ねました。6月6日(土)から14日(日)まで、実質1週間ほどの充実した実りの多い視察でした。

食をテーマとするミラノ万博を視察、世界に広がる日本の食文化

 6日(土)の朝10時過ぎに関西国際空港を飛び立って、フランクフルトを経由してミラノのマルペンサ国際空港に夕刻に到着。翌7日(日)の午前、ミラノ万博の会場(148の国・地域・国際機関が参加)を訪れました。110haの広い会場は、大勢の見学者で早朝から賑わっていました。
 最初に訪れた日本館は、ユネスコの世界文化遺産に登録された日本食を世界に向けてアピールすることを目的に、日本政府との連携のもとジェトロ(日本貿易振興機構)が運営していました。四季折々の豊かな自然、山と里と海の幸、多彩な和食を支える食器などがビジュアルに展示され、見学コース最後のホールでは、和食を支える日本の食文化の精神(「いただきます」「ごちそうさま」)が巧みに演出されていました。
 日本館会場を案内していただいたジェトロのイタリア人女性に、「イタリアの方々は日本の食や食文化に興味をお持ちですか」と尋ねたところ、関心は着実に高まっているとのことでした。
 昼から日本館では、京都ウィークのオープニングセレモニーが開催され、山田京都府知事、門川京都市長、立石京都商工会議所会頭を含めオール京都の関係者が勢揃いしました。京都からきた舞妓さん、芸妓さんの舞も披露されました。


ミラノ万博の日本館を見学する海外の人々

イタリア経済を牽引するミラノの中小企業を訪問

 8日(月)の午前、ミラノ郊外にある中小企業(オロビアンコ社)を訪問しました。社長であるジャコ・マリオ・ヴァレンティーノさんに工場と本社ショールームを案内していただきました。オロビヤンコ社は、カーボンシート(炭素繊維)に魂を吹きこむとの思いで、先端技術と職人技を融合して付加価値の高いレザー製品を開発し生産しています。工場で働いている若い女性の生き生きした姿が印象的でした。スーツケース1つが1.5万~2万ユーロ(約200万~280万円)と聞いて、我々の常識をはるかに上回る価格に、一体だれが買うのかと驚きの声がでるほどでした。
 ちなみに、ミラノはGucciなどブランドショップが集積しており、文字通りファッションのまちです。職人を中心とした中小企業が集積するミラノなど北部イタリアの諸都市は、貧しい南部イタリアとは対照的にイタリア経済を牽引しています。

フィレンツェ・京都姉妹都市交流50年の記念式典に出席

 9日(火)の午前、フィレンツェ商工会議所を表敬訪問し、市役所の500人ホールで、フィレンツェ・京都姉妹都市50年の記念式典に臨みました。フィレンツェ・京都両市の市長と市議会議長、在イタリア日本大使が出席して式典が行われました。京都からは私たちミッション参加者を含め約300名が出席しました。式典の最後に、イタリアにいる子供たち(日系)が「上を向いて歩こう」など数曲を日本語とイタリア語で合唱しましたが、草の根国際交流の微笑ましいひとときで感動しました。
 フィレンツェは、イタリア北部にあるトスカーナ州の州都、ルネッサンス発祥の地として有名です。アルノ川がまちの中央を流れ、周囲が山に囲まれた盆地に発達した都市という点でも、京都と似た地形的特徴を持っています。かつてイタリアの首都であったことでも京都と共通しています。ちなみに、フィレンツェの人口は、約36万人(京都約147万人)。
 50周年の式典会場でも、夜の京都市交響楽団による演奏会でも、京都市の平竹さん(市民文化局長)にお会いできたのは奇遇でした。

ポーランドの歴史都市クラクフを歩く

 フィレンツェからフランクフルト経由でクラクフ行きの飛行機が天候のせいでキャンセルとなり、一日遅れで11日(木)の夕方、ポーランドのクラクフに着きました。クラクフの街は、ポーランドの京都とも言うべき歴史都市でした。12日(金)の早朝、クラクフの中心地を散歩しましたが、石づくりの通りは、重厚な落ち着きがあり歴史を感じました。トラム(路面電車)が静かに街の中を流れるように走り、清楚な印象でした。
 ポーランドは、第二次大戦で隣国のドイツとロシアに占領され、首都ワルシャワなどは壊滅的な戦災を被りましたが、クラクフは、ドイツ軍の侵入を余儀なくされたものの街の破壊はまぬがれ、歴史都市の景観はそのまま維持されました。
 クラクフの街を語る時、ユダヤ人への迫害のことにふれないわけにはいきません。クラクフからバスで2時間ほどの所にアウシユビッツがあり、約3キロ離れたビルケナウとともに、ホロコースト(大量虐殺)の舞台となった所として有名です。
 年間160万人の人々が世界遺産である強制収容所を訪れていますが、その6割は15歳から25歳の若者です。ポーランド政府とEUは歴史教育を重視していると日本人のガイドさんから説明をうけました。

会頭ミッション参加者との交流を通じて、アルパックの企業価値の重みを実感

 今回の会頭ミッションには、立石会頭、柏原副会頭、福永副会頭をはじめ、京都商工会議所の多彩なキーパーソンが参加されました。
 京都新聞の白石社長、大垣書店の大垣社長、天橋立にある国際観光旅館幻妙庵の女将、はんなりやの代表を含めた4人は、京都市北区にある紫明小学校時代の同級生。大阪ガス京滋地区総支配人の小西さんは、慶応大学のラグビー部の出身で、バックスとして活躍された。富田屋の田中さんは、明治初期からの老舗の呉服屋を受け継いで、築130年の歴史的な町家を生かして、着物の着付けやお茶など京都の文化体験の仕事をされています。宝酒造の大宮さん(副会長)から、昭和30年代にビール事業に手を出して失敗した経験とバイオ事業に展開して成功した体験談をお聞きました。「成功体験は経営を発展させていくときに大きな障害になる」としみじみ語っておられたことが印象に残りました。
 このたびの会頭ミッションに参加して、アルパックが京都で生まれ、育ち、成長してきた企業であることを再認識し、アルパックの歴史と企業価値の重みを実感しました。


フィレンツェの市街地(ベッキオ橋周辺)

観光客であふれるフィレンフェの広場