アルパックニュースレター183号

台湾の農村に行ってきました!

執筆者;地域再生デザイングループ 嶋崎雅嘉

台湾全体で取り組まれる農村再生の取り組み

 11月に台湾の農村を訪問する機会をいただきました。台湾では、「農村再生条例」が2010年に立法院(国会)で可決され、政府は同条例により、秩序ある農村の発展を推進し、実質的に台湾の4,000カ所の農村および漁村、60万戸の農民および漁民を支援していくことになりました。この政策により、産業、文化や生活の質を高め、安心して働ける豊かで新しい農村を作ることを目指しています。また、そのことにより、若い人々の故郷へのUターンを誘致し、農村の活性化を図っていくこととしています。

古民家の再生による活性化

 今回の台湾訪問では、この農村再生の取り組みにおいて進められている、農村の風景の再生、コミュニティの再生の現場を見学させていただきました。
 古い民家を再生して農村の食文化を楽しめる農家レストラン兼民宿「東里家風」では、台中や台北からの都市住民がたくさん訪れて賑わっています。地域の文化を体験できる取り組みとして、伝統的な婚礼のパフォーマンスも見せていただきました。このような伝統的な民家の再生が各所で取り組まれています。


農村の料理

婚礼儀式のパフォーマンス

コミュニティと風景の保全による活性化

 タロイモやナツメが生産されている石壁社区では、コミュニティの結束、農村風景の保全に取り組まれており、地域の言い伝えをモチーフにした地域劇に老若男女が参加して披露していただきました。住民の皆さんのステキな笑顔が印象的でした。
 この地域では日本向けに輸出されているしめ縄の生産も行われています。皆さんのお宅のしめ縄も台湾でつくられているものかもしれませんね。


タロイモと三期作できる稲作の農村風景

地域の若者がつくるしめ縄

台湾の農村と日本の農村比較

 台湾でも日本の農村と同様に、高齢化、跡継ぎ不足、競争力の低下といった課題を抱えています。
 台湾での農村再生の取り組みは、大学からのプロジェクト提案なども受け、具体的に進められています。各プロジェクトがスタートしてまだ間もないですが短期間のうちにいくつかの成果を上げています。今後、モデル的に取り組まれた事例が「面」としての広がりを持つことが期待されます。
 日本の農村と比べると、高齢化率もまだ低く、この段階から戦略的に農村活性化に取り組むことで、地域の文化・景観を受け継ぎながら若い世代も安心して農業に取り組むことのできる「新しい農村づくり」の可能性を感じます。
東里家風:
http://donglijiafeng.jimdo.com/
稲草民俗芸術館:
http://srtaw.myweb.hinet.net/

アルパックニュースレター183号(新年号)・目次

2014年1月1日発行

新年の挨拶

ひと・まち・地域

きんきょう

『創始者に聞く』

まちかど