アルパックニュースレター183号

連載2「創始者に聞く」

インタビュアー:地域再生デザイングループ 羽田拓也

―創業から47年が経ちますが、仕事をするうえで、変化しているものとしていないものはどんなところですか?
 西山先生の蔵書を見るとわかりますが、写真やスケッチなどによる映像の記録をたくさん残しておられました。
 デジタルカメラで何百枚も撮影できたり、ビデオで動画記録を撮ったり、技術的な変化、進歩はありますが、「記録を克明に残す」ことは昔も今も変わらないことで、私たちの仕事と密接に関係していることです。
 映像記録だけでなく、統計や地図データもそうで、昔のデータなどを踏まえることもあります。今は、これらをデジタルでコンパクトにできますが、データをきちんと整理し残すことは変わらない原則です。
 もうひとつは、「一体我々は何者か」という、私たちの職業や自分自身の職能について、常に問い直していく、ということです。アルパックの創業当時、新しい領域に切り込んだという考えで取り組んでいましたが、「本当にそうなのか」といったことを含め、「私たちは何者か」、「どういった職能なのか」を絶えず議論し、確認することに一番力を入れていました。

―三輪さんが仕事をする上で念頭におかれていたことは何ですか?
 アルパックの使命やアイデンティティはクライアントの「参謀」役に徹することと考えていました。
 決して「仕事師」や「事件屋」になってはいけないと思っています。「仕事師」は、単純作業の連続に陥ること、「事件屋」は、投機のような仕事の仕方です。
 次に、アルパックの業態は「受注」で成立する受注産業ということです。
 仕事を作るということは、地域で何が問題になっているかをしっかりと観察し、それを解決するために地域に必要なものやことを提案することです。
 受注力、営業力は、トップになるほど責任が重くなります。目標を持って大きなプロジェクトなどを仕組まねばなりません。

―前号で、20代はスキルアップという話がありましたが、30代やその後のステップとして意識されたことは何ですか?
 スキルアップの次は、キャリアアップに努めることだと思います。キャリアアップというのは、「資格の取得」や「団体(学会や職能団体)のポジションのことです。そういった所で、自分自身も磨かれていきますし、団体での仕事を任され、まとめる力がついてきます。こうしたものは、すぐに形として現われるとは限りませんが、自分への“投資”として積極的に取り組んでほしいと思います。
 私も個人で加入できる団体からはじめ、色々なところで活動してきました。今もお声掛けいただくものもありますが、こうした外での役割なども、次世代に継承していくことが今の役目の一つだと思っています。

<インタビュアーの感想>
 私は、三輪さんと仕事を一緒にした経験がなく、じっくりとお話するのはこれが初めてでした。80歳を超えてもなおバイタリティあふれる話しぶりに惹きこまれ、自分も同じように変わらずエネルギッシュでありたいと思いました。と同時に、三輪さんがアルパックを設立した36歳まであと5年、色々と考えさせられます(笑)


年表

アルパックニュースレター183号(新年号)・目次

2014年1月1日発行

新年の挨拶

ひと・まち・地域

きんきょう

『創始者に聞く』

まちかど