アルパックニュースレター190号

うまいもの通信「下北春まな」

執筆者:建築プランニング・デザイングループ 鮒子田稔理


朝市に出荷される春まな

 お正月気分も抜けたある日奈良県下北山村を訪れると、土曜朝市に出すため下北春まなの袋詰め作業を行っているところに偶然出くわしました。これまで何度も村を訪れていますが、生野菜状態の「春まな」にお目にかかるのはこれが初めてでした。
 下北春まなはβカロチン、ビタミンB1などが豊富に含まれていて、食事が偏りがちな山の生活には欠かせない食材として先人たちが大切に育ててきた下北山村の固有種で、霜にあたることによって甘味が増すといいます。これまでは収穫量が少なく村内だけで消費されていましたが、2年前からふるさと復興協力隊や地域おこし協力隊の隊員たちによって有機無農薬でハウス栽培が開始され、少量ながら朝市や村外でも売ることができるようになりました。
 葉が肉厚で大きいのでめはり寿司にするのが昔からの食べ方ですが、村内の温泉施設きなりの湯・きなり館(アルパックで設計監理を行いました)内のレストランきなり亭ではこの春まなを使っためはり寿司の他、春まなの粉末を練り込んだパスタやうどん、春まな豆腐などを食べることができます。売店では春まなチョコや冷凍の春まな漬けも販売されています。
 さて、この限定色の強い採れたて新鮮野菜を目の当たりにしてそのまま帰ってこれるわけはなく、お願いして「通りすがり価格」で分けていただきました。
 家に帰って早速塩漬けにしておにぎりをくるんでみました。少し苦みがありますが味が濃くて甘味も感じられる食べごたえのあるお野菜でした。一枚の葉が大きくて厚いのでしっかりと包みこむことができるのです。他にお鍋などに入れても存在感のある野菜です。
 昭和30年代にはダム工事のため村外からの移住者もありピークでは4千人を超える人口でしたが、減少を続け現在は約1,000人、高齢化率も45%を超えています。過疎や高齢化で日常生活の維持が厳しい村民の方々の生活を支えようと村外から移住してきた3人の協力隊と村民が協力し「生活支援隊サポートきなり」が立ち上げられ昨年10月にはそれまでの任意団体からNPO法人へと組織を改め活動の強化を図っています。過疎地有償運送制度を利用し認可を得て、買い物や通院等で周辺市町村へ行く村民の送迎を行ったり、村民の依頼を受けて草刈りや屋根の修繕などの有償サービスを行うなどさまざまなコミュニティビジネスを試行錯誤しながら進めています。
 村政125周年のこの小さな村の取り組みに我々が学ぶべきことが多くありそうです。
特定非営利法人サポートきなりFacebook


きなり亭のめはり寿司

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2015年3月1日発行

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