アルパックニュースレター191号

動き出した、ミナミ御堂筋沿道のまちづくり

執筆者;都市・地域プランニンググループ 絹原一寛

 前号では京都のメインストリート、四条通の話題を扱いましたが、今号では大阪のメインストリート、御堂筋沿道でのまちづくりをご紹介します。

不動産オーナーによるネットワーク組織「御堂筋の会」の設立

 昨今のミナミの御堂筋沿道は、ブランドショップの出現などテナントの構成も大きく変化しており、インバウンド観光の急伸で海外からの観光客の通行量が激増、外国人が大きな買い物袋を持って歩く姿が日常の光景になりました。今後、その数は倍増するとも見込まれ、現状の道路空間では対応しきれない事態も遠くない未来に訪れると思われます。
 こうした状況に対し、大阪市は「グランドデザイン・大阪」「大阪都市魅力創造戦略」で御堂筋を世界に誇る都市魅力を発揮できる舞台として、顔に相応しい賑わいのある空間へ再編を図る方向を打ち出し、平成26年10月に側道を閉鎖し歩道を拡げるとともに自転車通行空間を確保するという具体的な空間再編案を発表しました。
 御堂筋沿道では淀屋橋~本町通間を活動範囲とした「御堂筋まちづくりネットワーク」や、長堀通付近で活動する「NPO法人御堂筋・長堀21世紀の会」があり、沿道の将来像の議論・提言や地道な美化活動などを息長く実践しておられます。また、ミナミ全体のまちづくりの連携組織として「ミナミまち育てネットワーク」があり、多数の団体・企業が参加して各種イベント・プロモーションの実施や、提言活動などを展開しています。


図:区間別整備イメージ:南側(新橋~難波西口間) 大阪市「御堂筋の道路空間再編について(案)」報道発表資料(平成26年10月)

図:会のパンフレット

 しかし、ミナミの御堂筋沿道では、沿道のまちづくりの情報を地権者に届ける場もなく、せっかく各種事業が実施されていても「自分たちの知らないところで事業が進んでしまいかねない」という状況でした。
 折しも、昨年度に御堂筋イルミネーションの難波西口交差点までの延伸が発表され、今後沿道での協力の可能性や、前述の空間再編への対応なども早急に考えていかねばならなくなり、これに危機感を持った不動産オーナーが発起し、情報交換を行う場(プラットホーム)として「御堂筋の会」を立ち上げました。
 「御堂筋の会」では、平成26年9月から毎月の定例会を開催し、御堂筋関連の情報共有や、国内外のメインストリート事例の勉強、府市の担当部局との情報交換を行う、「沿道地権者に情報を届けるプラットホーム」として機能しており、参加する地権者も増えつつあります(当方はこの事務局を支援しています)。


写真:定例会の様子

一気に動き出した、千日前通以南のモデル区間整備

 平成27年2月には、空間再編のモデル区間として千日前通からなんば駅前までの区間を平成27年度中に整備する方針が打ち出されました。
 「御堂筋の会」としても、この整備がモデルとなって北に事業が伸びていくことから、官民協働のモデルケースとして、地権者と関係者、行政が対話しながら空間整備とその後の維持・管理、活用を考えるべく、町会・商店会と、関係団体(なんば安心安全にぎわいのまちづくり協議会、ミナミまち育てネットワーク)と協調し「千日前通以南モデル区間整備協議会」を設立しました。現在、大阪市と断続的に整備内容や、その後の維持管理について意見交換を行っています。
 なんば駅前では「なんば安心安全にぎわいのまちづくり協議会」が中心となり駅前広場の歩行者空間化をめざした取り組みを進めています。ミナミが歩行者の空間として大きくその姿を変えようとする動きを、沿道地権者も注視しています。まさに千載一遇のチャンスです。京都の四条通や姫路の大手前通りで歩行者主体の空間再編が実現、一歩先を行かれている状況でもあり、この機を逃すことなく、スピード感を持って取り組んでいかねばなりません。
 そして、歩行者空間ができた暁には、次の段階、官民協働のもと高質で賑わいのある空間を自律的・継続的に創っていく「エリアマネジメント」へとステップアップしていくことが期待されます。拡幅された歩行者空間の維持・管理や、かねてより問題となっていた自転車の不法駐輪に対して、地元と行政が一層力をあわせて取り組んでいけるように、この協議会での議論とアクションが期待されるところです。
 さらには、沿道の関係主体が自ら資金等を拠出し、高質な維持・管理を担う段階まで到達できれば、「空間整備」だけではなく「マネジメント」のモデル整備区間として、また、既成市街地におけるエリアマネジメントのモデルとしても、大きな意味を持つと考えています。平成26年4月に施行された「大阪版BID条例(大阪市エリアマネジメント活動促進条例)」の制定も追い風となるでしょう。


写真:協議会の様子

ミナミ御堂筋のこれからに目が離せない

 賑わいあふれるまちを生み出し世界から集客を図ろうとする中で、道路空間の再編を進めつつ、沿道の不動産オーナーが関係者とともに望ましいまちの実現に向けて働きかけ、官民協働でまちの資産価値を高めていく。これからの公共空間、そして世界に誇る御堂筋のあるべき姿に向けて、「御堂筋の会」は、今後とも活動を続けていきます。
 既成市街地でかつ区間によって地権者の構成も多様である難しさもありますが、そこを乗り越えた先に世界に誇る御堂筋の明るい未来があると信じています。御堂筋はこれからのまちづくりも目が離せません。ぜひ注視して頂ければと思います。

アルパックニュースレター191号・目次

2015年6月1日発行

特集「昭和の風景を訪ねて」

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