アルパックニュースレター191号
昭和町界隈でどっぷり昭和を満喫!
4月29日(水)この日は、「昭和の日」ということで、大阪市阿倍野区昭和町駅の周辺で開催されるイベント「どっぷり、昭和町。」にいってきました。
駅を降ると、漂うおいしそうな香りで長屋が連担する路地(やっぱり長屋&レトロを満喫エリア)に引き込まれます。飲食の模擬店が並び、路地中央部の住宅では寄席が開催されおおいに賑わっていました。このエリアこそ本イベントの起源となった場所です。
当日、会場に貼られていた活動紹介によると、2006年、宮大工により復元された長屋が大阪都市景観大賞に選出され、さらに、長屋建築として初の登録文化財に指定されました。これをキッカケに昭和初期の景観を残す長屋で働く若者が、人情味溢れる長屋のコミュニティを具現化したいとの思いで始めたのが「どっぷり、昭和町。」とされます。現在、このイベントも10回目の開催となり、商店街なども巻き込み多数の開催エリアを持つようになっています。また、当イベントとの明確な因果関係は分かりませんが、近年では、周辺の長屋をリノベーションした店舗等も出てきており、仮にこのイベントでエリアの認知が進んでいるとすれば、その波及効果は特筆すべきといえます。
以前、187号のまちかど「塀の中から見た風景」にて、かつての人間の行動(3億円事件)が一般的に評価されない景観(塀)に「深み」を与えているという事例をご紹介しましたが、今回はまさに、暮らしの積層である景観を改めて評価することが人々の記憶を掘り起こし、更なる行動の積層を再び創起させた事例といえるのではないでしょうか。
我々も景観づくりのお手伝いをさせて頂く機会がありますが、いわゆる「良好な景観」をつくることを最終目標にするのではなく、昭和町の長屋のまちなみの様に、あらたな人間の行動を創発する「引き金」となる景観づくりや評価の枠組みづくりを意識する必要性を再認識することになりました。
将来、「昭和な景観」がどの様な意味を持っているのか、または意味自体を持ち得るのか…昭和の盛り場を勢いづけたという、コロナビールに酔いながら、そんなことを考えてみた休日でした。
![]() 「どっぷり、昭和町。」ガイド表紙 |
![]() 長屋としては初めて登録文化財になった 「寺西家阿倍野長屋」 |
アルパックニュースレター191号・目次
特集「昭和の風景を訪ねて」
- 特集にあたって/ニュースレター編集委員会 坂井信行
- 昭和な酒場にGO!鶴橋編「よあけ食堂・海の家」/ニュースレター編集委員会 鮒子田稔理・塗師木伸介
- 昭和な酒場にGO!梅田編「松葉」/ニュースレター編集委員会 鮒子田稔理
- 昭和な酒場にGO!京都編「リド飲食街」/ニュースレター編集委員会 中村孝子
- 1970年 万国博覧会・21世紀の設計&アルパック/名誉会長 三輪泰司
ひと・まち・地域
- 茨木市北部エリアガイドブック「いばきた」を作成しました!/地域再生デザイングループ 岡崎まり・地域産業イノベーショングループ 片野直子
- 動き出した、ミナミ御堂筋沿道のまちづくり/都市・地域プランニンググループ 絹原一寛
新人紹介
- 「アルパックとの出会いはごみ調査で」/環境マネジメントグループ 伊藤栄俊
- 「新たな土地 京都にて」/地域産業イノベーショングループ 片山麻衣
- 「新しい領域で持続可能な地域のためにできることを」/地域再生デザイングループ 戸田幸典
- 「よろしくお願い致します」/建築プランニング・デザイングループ 塗師木伸介
- 「取り組みたいこと」/環境マネジメントグループ 樋口彩子
きんきょう
- 下北山村写真集「きなりの郷の暮らしから」が発行されました
/建築プランニング・デザイングループ 鮒子田稔理 - 暗闇の中の対話(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)を体験してきました
/地域再生デザイングループ 大河内雅司










