アルパックニュースレター160号

雄三通りにおける社会実験を活用した住民参加の道路のあり方の検討

執筆者;東京事務所 久永誠

 昨今、都市計画道路の見直しをめぐり各地で様々な検討がなされていますが、神奈川県茅ヶ崎市では、住民参加により都市計画道路の見直しのあり方を考えるための社会実験が実施され、お手伝いしましたのでご紹介します。
 JR茅ヶ崎駅前と湘南海岸を結ぶ幅員8mの県道「雄三通り」は、沿道に店舗が立ち並び、歩行者、自転車、自動車で輻輳しています。市内(駅以南)の道路の特徴として「幅員の狭さ」、「南北を通る基幹道路の不足」などが挙げられ、雄三通りは幅員20mの基幹道路として都市計画決定されていますが、未着手の状態で所謂「塩漬け状態」に陥っており、実態は生活道路としての性格を持っています。 このような背景の下、沿道関係者は、雄三通りのあり方について市主催の検討会で議論を重ねました。
 検討会では、現況幅員を望む地権者、安全な道路とするため一定の幅員を確保したい商業者等から多様な意見が出されるなか、社会実験の提案が出されました。


ポスター

 この社会実験は、雄三通りを安全な道路とするにはどの程度の幅員が必要か把握するために、現行の相互通行を1車線一方通行とし、道路両側へ歩道と自転車通行帯を振分け、現況道路で安全な道路空間を体験するものです。
 社会実験(平成20年10月実施)の結果、通行帯の区分により交錯が減り利用者の安全性が向上する一方で、歩道、自転車通行帯の幅員不足、搬入車等の駐停車空間の確保が課題となりました。
 この実験結果を踏まえ、市は21年度から都市計画道路の見直し作業を進めています。このように、社会実験が都市計画道路の見直し検討の一助となるものとして考えられます。


雄三通りの社会実験の様子

雄三通りの社会実験の様子