アルパックニュースレター160号

ひらかれた市場をめざして~大阪市中央市場の見学&料理教室

執筆者;大阪事務所 大河内雅司

市場見学の人気に迫る

 食べ盛りを抱える我が家は、景気が悪くても食費を削るわけにはいきません。嫁さんは毎日4つの弁当づくりに追われています。「安全な食材をできたら国内産で」が理想ですが、薄給ですから「できるだけ安く」というのが本音であります。
 そこで、「食材の価格決定や流通に迫ってみよう」ということで、大阪市中央市場を見学してきました。市場の見学者は、5年連続で年間1万人を突破しているそうで、毎日20~30名の団体が2団体は来ていることになります。その人気の秘密に迫ってみました。

工夫を凝らした盛り沢山のプログラム

 プログラムは約2時間で、(1)市場の説明、(2)見学会、(3)広報ビデオで学習、(4)調理実習、と盛りだくさんの内容です。市場の機能は、(1)集荷、(2)価格決定、(3)分荷、(4)決裁、(5)相場形成・・・と、固めの内容で始まりますが、その後の展開は工夫が盛り沢山でした。

ここでしか買えない買い物+見学ツアー

 オリエンテーションが終わると買い物袋が手渡され、買い物+見学ツアーが始まります。先ずは、果実せりを見学して価格決定の現場を体験します。それだけでなくて、せられた果物をおみやげでいただきます。
 次に、水産仲卸売場です。水産物のせりは4時から5時なので、すでに終わっています。そこで、仲卸店舗の協力で、まぐろの解体、販売が行われます。大きな切り身をほおばった後で、皆さんお得な値段でトロを買い込んでいました。この日は、マグロ以外にも見学ルート上で、うなぎやあなごの焼き魚、かつお節、かまぼこなど、買い物を楽しむことができ、参加者の買い物袋はふくらんでいきました。


果実せりの見学、体験

マグロの解体、販売

市場の食材を使った調理実習

 見学会の後は、市場の食材を使った調理教室です。始めに、市場で扱う野菜について職員の方から解説があります。学習によってより身近になった食材を使って、この日は、ぶりの照り焼きとだいこん煮、スナップエンドウ入りエビマヨ、甘栗おこわ、れんこんのごま酢和え、小松菜ケーキをつくりました(全部ですよ)。調理実習のボランティアさんが下ごしらえをしてくれており、短時間でつくることができました。
 まじめに学び、買い物も楽しめる、実にお得なツアーですが、参加費は調理実習の食材費800円のみです!

市場の危機感と新しい役割の模索

 食の安全が脅かされている、食糧自給率が低下している、デフレで売れ行きが伸びない、産地は後継者不足・・・食をめぐる問題は山積みです。一方で、ネット販売などの直販型流通は、百貨店の販売額を超えたとか、衣料では、中(卸、中卸)抜き型のユニクロ、しまむらなどが一人勝ちとか、流通をめぐる新しい動きがあります。
 食の安全や流通をめぐる新しい動きに対して、市場は危機感をもっており、消費者に市場をひらきながら新しい展開を模索している、と感じました。これまでに果たしてきた卸売に加えて、消費者に働きかけて市場を創っていく、市場を開拓して相場をつくる、産地を育成するなど、新しい役割をもとうとしているのかもしれません。
 「口に入るもの、生活の根っこを支えるものだから、関心をもって自分で料理したいな」、「嫁さん任せで仕事ばかりしていては豊かな生活は遠のいていくな」、と自らの生活を振り返るきっかけになりました。マイレシピが増えたこともよかったですね。お勧めの見学会です。
 見学の申し込みは、大阪市中央卸売市場本場市場協会へ
http://www.honjo-osaka.or.jp


市場の食材を使っておいしくできました