アルパックニュースレター167号

「ぶらり萩あるき」しませんか?

執筆者;京都事務所 江藤慎介

 京都から山陰本線・普通列車に揺られて約15時間。桜と椿、そして夏みかんの色鮮やかな「維新の里」、萩城下町を訪れました。

「まちじゅうが博物館」を体感するまち・萩

 夜に萩へ到着して驚いたことは、明かりも音もまったくなく、まさに「闇」。日本で初めて重伝建地区に選定された萩城下町やその周辺には、町並みを維持するためにコンビニもありません。
 翌日、萩のまちなかを歩きました。武家屋敷が並ぶ白いなまこ壁や黒板塀、石州瓦の屋根並、土塀と夏みかんの風景、また格子や虫籠窓の町家が連なる港町など、萩では多彩な町並みに出会います。それぞれの町並みでは、地元の方から丁寧な説明を伺ったり、夏みかんを戴いたり・・・。
 萩の魅力を萩にすむ人々が再発見するとともに、かけがえのない「萩のおたから」を守り育てながら、誇りをもって次世代に伝えていこうとする「萩まちじゅう博物館」の取り組みが表れていることを実感しました。


土壁と夏みかんの風景

僅か8畳の松下村塾

市民や観光客が集い楽しむまち・萩

 中央公園の目の前にある萩図書館「萩あいぶらり」は、図書館だけでなく児童館やカフェを併設しており、子どもから大人までがゆったりとした時間を過ごしています。また萩市民館には「萩元気食堂」が併設され、萩産の野菜を中心とした地産地消メニューの野菜バイキングが食べられます。付近には山口県立萩美術館・浦上記念館や萩市庁舎、幕末における長州藩の活躍に大きく貢献した藩校「明倫館」もあり、市民や観光客が学んで遊んでお腹いっぱいになる施設が集まっています。

イノベーションのヒントがあるまち・萩

 萩まち歩きの締め括りは松陰神社。敷地内にある松下村塾は、なんと僅か8畳の質素な家屋。久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋といった明治維新で活躍する人物を多数輩出した松下村塾は、まさにイノベーションを生み出す場と言えるでしょう。場づくりとはまず「ひと」が中心にあるとあらためて感じました。吉田松陰や門下生を支えたであろう、歴史からは見えない支援者の姿を思い浮かべながら、温泉で疲れを癒すのでした。


白いなまこ壁の町並み

萩元気食堂の野菜バイキング

アルパックニュースレター167号・目次

2011年5月1日発行

特集「安全で安心して暮らせるまちづくり」

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