アルパックニュースレター167号

京都市基本計画が策定されました

執筆者;京都事務所 松本明

 市民公募で「はばたけ未来へ!京(みやこ)プラン」と名付けられた京都市基本計画が策定されました。平成11年に議決された京都市基本構想に基づく第2期の基本計画(計画期間10年間)と位置づけられます。
 当社では、平成20年度から3か年、基礎調査から計画策定までのお手伝いをしました。

策定プロセス

 策定に向けた市長の方針「徹底した市民参加」に基づいて、京都市ならではの取り組みが行われました。計画そのものの内容は京都市のホームページでぜひご覧いただくとして、ここでは、策定プロセスのトピックスをかいつまんでご紹介します。

京都の未来創造研究会

 平成21年9月の審議会発足に先立つ約1年間、同志社大学新川達郎教授を座長に新進気鋭の若手研究者による12名の委員が、様々な議論を重ねて、今日的な基本計画の在り方を検討しました。地方分権改革の進展、大きな赤字を抱える地下鉄経営などの厳しい財政状況等の中での基本計画の「かたち」として、市民、企業、行政など多様な主体による「共汗型計画」、京都ならではの先進的で独創的な政策展開の基盤となる「京都の未来像」、行政分野を横断し、市民目線によるわかりやすさを重視した「融合による重点戦略」、市職員による使いやすさを重視した政策分野別の政策方針等が打ち出されました。
 また、研究会と市職員との協働も特徴的でした。市職員から公募された次期京都市基本計画策定支援チームのメンバー15名が研究会委員と一緒に市役所の外に飛び出し、ヒアリングなど実際に足を使った調査をしながら、
(1)若者世代に焦点を当てたライフスタイル、(2)共助を重視した京都流コミュニティ、(3)生活・産業・観光・交通等を横断する環境政策=「京スタイル」、(4)都市活性化に向けイノベーションを重視する創造都市戦略など、基本計画の重点戦略の素描となる4つのアイデアを形にしていきました。そして、若手職員の問題意識を研究者にぶつけながら、「政策」への昇華のプロセスを体験できたことも大きな成果だったと思います。

審議会でのワークショップ

 70名という大きな審議会で、実質的な議論をどのように深めるかも大きな命題でした。主に未来像と重点戦略を検討する「融合委員会」と、政策の体系を検討する4つの分野別の「部会」が設けられましたが、議論積み上げ型の運営をするために、ワークショップ手法等を取り入れました。融合委員会では、それまでの研究成果や客観データをパネルやスクリーンで示しながら、未来像と重点戦略の芽を数多く生み出し、縦横にクロスさせ、輪郭を描いていきました。

U35

 審議会と並行した取り組みとして、京都の「未来の担い手・若者会議U35」の活動があげられます。京都の様々な分野で活躍する概ね35歳未満の若者で構成される組織で、基本計画への政策提案や、各種市民参加事業のサポートを行うものです。
 メンバーの熱意とアイデアと協働への意志を原動力として、基本計画が掲げる5つの未来像の一つに取り入れられた「真のワーク・ライフ・バランス」の提起、「どうすんねん京都!?次期基本計画シンポジウム」と「京都の未来を考える 食べ物会議~自分が動けば未来が動く~」の2つのシンポジウムの実施、市民の中に飛び出す「出前パブコメ」の実施等々、アクティブでフレッシュな取り組みを展開しました。
 この取り組みは策定後の平成23年度も続きます。U35の取り組みの詳細は、そのサポートで一緒に汗を流した当社の担当スタッフが改めてレポートします。

アルパックニュースレター167号・目次

2011年5月1日発行

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