アルパックニュースレター167号

1日でまちづくりの新しいきっかけができた
「さんだの夢・未来を描くワークショップ」

執筆者;大阪事務所 小阪昌裕

 三田市(兵庫県)の総合計画づくりのための市民ワークショップを、草津市(滋賀県:本紙153号参照)を参考に3月5日、6日の土日の2日間(1日目がワークショップ、2日目が発表等)で企画、実施しました。
 公募の方法は無作為抽出の3,000人(16歳以上)に発送し、その結果、定員60人のところに137人の応募があり、抽選で80人を選びました。応募条件は2日両日参加できる高校生以上の市民です。

進め方

 班構成は、まちづくり憲章の5本柱により、2班ずつ、計10班で構成しました。応募時に第3希望まで記入して頂き班分けしました。各班は市民7人、市職員1人、コンサルタント1人の構成です。
 アルパックの役割は、ワークショップの企画、当日の全体の進行役、各班のファシリテーター、提言票のまとめ記入です。
 話し合いに先立って、ワークショップの進め方等について説明があった後、市からこれまでの三田市のまちづくりについて紹介等をしました。
 その後、各班で、各テーマにおける三田の良い点と良くない点について話し合いました。
 昼食には、三田の食材を使ったお弁当とお茶を楽しみました。
 午後からは、各テーマにおける目標(未来像)とそれを実現する手段について話し合いました。
1日目の夕方には、翌日の発表の班の順番決め、各班の打合せが済んだ班より、自由解散としました。


ワークショップの様子

個性的発表

 2日目午後の発表には、全員といって良いほどの出席者で各班5分の時間制限のなかで発表がはじまりました。
 班の全員が前に並んで、1人の発表から全員での発表まで各班の個性が出て、適宜休憩時間を挟みながら予定通りに進みました。
 全部の班の発表後の休憩時に、各参加者と職員によるお気に入りの発表班へシールを貼る投票も行いました。発表時には市長にも出席願い、各班間の意見交換の後、市長との意見交換も行いました。

試行的ワークショップ

 今回のワークショップの特徴は、まず、市民提案として決定し行政が実行することが条件となる「計画細胞(プラーヌンクス・ツエレ)」から発展した潜在的な市民がまちづくりに参画するきっかけづくりに期待する「市民討議会」の実験です。次に無作為抽出からの参加応募、朝から夕方までの1日でのワークショプをはじめ、班をまちづくり憲章の構成に一致させたことです。

立場別の感想

 参加者は、三田のまちづくりに興味があって、友達と応募した高校生や、転入者で三田の歴史に興味のある定年退職者、子育て中の女性の参加もありました。当日の感想は、他の世代と意見交換ができた、機会があればまた参加したい等の前向きな感想が多かったことが印象的でした。
 市担当課の感想は、当日の出席者も多く、終始なごやかにかつ積極的な意見交換の雰囲気で結果的にも参加意欲のあるワークショップとなったということです。
 企画者としては人数が集まるかどうか、若い人が参加してくれるか、1日で短くないか逆に疲れないか、すぐにうち解けてもらえるか等、諸々の心配事がありましたが、最も気にしていたのが趣旨が理解してもらえるかどうかでした。
 結果は、「無作為抽出によりこだわりのない市民参加ができた」、「1日間でも一定の成果が見えた」、「若者や現役市民等の多世代間等の多様な人が参加し、円満に進んだ」等のメリットが見いだせました。

今後の期待

 今後、アイデアとして基本計画等に生かしていくことと、これを機会に今まで参加が難しかった市民層を含めてまちづくりへの意識が高まっていくことを期待しています。10人のファシリテーターで1日のワークショップの実施等初めての試みでしたが、予想以上の結果で、個々の経験を生かして、市民参加にさらに取り組んで行きたいと思っています。


三田の食材を使ったお弁当

お気に入りの発表班へシールを貼る投票

アルパックニュースレター167号・目次

2011年5月1日発行

特集「安全で安心して暮らせるまちづくり」

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