アルパックニュースレター167号

スノーピーク箕面自然館とスノーピーク箕面キャンプフィールドが
オープンしました

執筆者;大阪事務所 原田稔・和田裕介

箕面でアウトドア

 止々呂美地域は箕面市の中でも豊能町と隣接する北部地域に位置します。周囲は緑豊かな山並みに囲まれ、一級河川余野川に沿って、入母屋瓦屋根の伝統的な家屋と農地によるのどかな風景が広がります。
 一方、大阪北部の要として、この止々呂美地域のまわりでは幾つもの大規模公共事業が展開されています。
 平成19年には新規のニュータウンである「箕面森町」がまちびらきし、箕面山麓をトンネルで貫いた「箕面グリーンロード」が開通しました。これにより、止々呂美地域は大阪梅田から新御堂筋で直結し、千里中央からは車により15分でアクセスできるようになりました。
 また、新名神自動車道(平成30年開通予定)の建設も始まっています。
 アルパックで構想のお手伝いから設計監理までを行い、この度完成した「スノーピーク箕面自然館」「スノーピーク箕面キャンプフィールド」は、実はこれら大規模公共事業と密接に関係します。
 自然館は、箕面森町に小中一貫校「とどろみの森学園」(アルパック設計監理)が開校したことに伴い、地域の学校が統廃合され、廃校となり、学校に代わる集落コミュニティーの中心として計画された施設です。
 また、キャンプフィールドは、箕面森町と一体的整備を行う予定だった余野川ダムの事業凍結により、その広大な用地の活用策として計画された施設です。
 両施設とも、地域活性化や地域交流に加えて、地域資源である豊かな自然活用や体験、すなわち「アウトドア」をキーワードとします。


スノーピーク箕面自然館:外観

指定管理者スノーピーク

 この自然活用・体験を目的とした両施設の管理は、施設名称からも伺えるように、有名アウトドアブランドである「スノーピーク」がプロポーザルにより指定管理者として選定されています。
 株式会社スノーピークは新潟の三条市に本社を構えるアウトドアプロダクツの製造販売を手がける企業で、その製品やキャンプイベントは全国的に熱烈なファンに支持されています。
 このアウトドアを熟知した企業が、地域のまちづくりとコラボレーションし、アウトドアフィールドをプロデュースしていく…、非常に魅力的な構図が描かれます。

スノーピーク箕面自然館(箕面市立止々呂美ふるさと自然館)

 自然館は自然に関わる様々な体験について、キャンプを中心とするアウトドアという切り口でサービスを提供する施設です。テント設営講習などキャンプ初心者へのサポートや、アウトドアプロダクツの展示、キャンプフィールドの受付やレンタル品の窓口を行います。また、止々呂美地域の地域産品の加工や展示直売も行い、止々呂美の豊かな自然を体感するスタートの場所になります。
 自然館は前述の通り、昔の学校敷地を活用しています。自然館は新築の本館と、昔の体育館を活用した講習館、芝生化が施された(原稿執筆段階では播種が終わったところでまだ発芽はしていませんが…)校庭で構成されます。校庭では、デイキャンプや初心者向けのキャンプサイトとして利用される予定で、隣接して炊事棟が設けられます。
 さて、自然館本館の設計の特徴について紹介します。
 建物は地域産品の展示販売や郷土資料の紹介を行うホールを中心とし、北側と東側に加工室や体験学習室など個別の機能が配置されます。
 ホールは誰でも気軽に訪れることができるように天井を高くし、開放的な空間を形づくります。一方、周囲に配置される個別機能は天井を低く抑え、地域住民の活動をしっかり支えるイメージをもたせるため、外壁仕上げ材に木を用いた基壇のイメージとしています。
 ホールを覆う大屋根は、外部のテラスまで延長され、内外が一体的に機能できるよう意図しました。
 また、低層部と大屋根の間にガラスの開口部を設け、大屋根が宙に浮いた軽やかなイメージをもたせています。これは、空調を行わない春や秋における自然の風の流れを生み出すと共に、ホール北側や東側に柔らかい自然光を落とします。


講習館外観

農産物等展示コーナー・郷土資料コーナー

スノーピーク箕面キャンプフィールド(箕面市立止々呂美ふるさと自然館野外活動緑地)

 キャンプフィールドはキャンプを通して箕面の豊かな自然を体感、体験する施設です。谷間を流れる川に沿った棚田の地形を活かして整備されたキャンプサイトを中心に、キャンプフィールド周辺は自然林が多く残っていて春の新緑のシーズンから秋の紅葉まで、色とりどりの豊かな山の四季を体験することができます。
 キャンプサイトはオートキャンプを中心とした90区画を整備、うち20区画には電源コンセントも設けました。建物としては炊事場、トイレ、シャワー室を併設した管理棟と他2棟の炊事棟(トイレ併設)を整備しました。また、管理指定者がキャンプメーカーということで、現地に常駐されるスタッフの方から、初心者から上級者までニーズに合わせたキャンプに関してのアドバイスを受けることができます。
 できたて、ほやほやのキャンプフィールドなので、今は未だ緑も少なく人の手で造られた感が残りますが、これから年を重ねるごとにまわりの自然と一体化した、良いキャンプフィールドになっていくことと思います。
オープニングとこれから
 平成23年4月2日、自然館で両施設のオープニングセレモニーが開催されました。市長や来賓の挨拶やテープカットに加え、アウトドア施設ならではということで、地面にペグ(テントなどを張るロープを地面に固定するための杭)が打ち込まれました。当日は自然館で地域の新鮮野菜や特産品の直売会が行われたりと、多くの人で賑わいました。
 また、15日からはキャンプフィールドもオープンし、その週末の予約は約90組と、多くのキャンパーが訪れています。
 両施設とも軌道に乗り出すのはまだまだこれからだと思いますが、都市と直結する新しい北大阪のアウトドアスポットとして期待されます。
スノーピーク箕面自然館・スノーピーク箕面キャンプフィールド
URL:http://www.snowpeak.co.jp/camp/minoh/


炊事棟外観

キャンプフィールド

アルパックニュースレター167号・目次

2011年5月1日発行

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