アルパックニュースレター169号

特集

まちなかバルによるエリアマネジメントの第一歩

執筆者;大阪事務所 中塚一

2004年に、北海道函館市の「西部地区バル街」から始まった、まちなかの飲食店を3,000円~3,500円の5枚綴りのチケットを使って、1ドリンク+1フードのお店を飲み歩く「まちなかバル」。
関西では、2009年に兵庫県伊丹市に「伊丹まちなかバル」として飛び火し、今秋11月12日(土)に第5回が開催されます。

参加店・参加者とも毎回増加

ニュースレターの158号、162号でもお伝えしましたが、伊丹まちなかバルは、この春の第4回では、参加店が93店舗、参加者(チケット販売枚数)が約3,000冊と増加し、まだまだその勢いが止まりません。また、リピーターも増加し、全て参加されているハードリピーター(バルマニア)も増加してきています。


バル参加店数とチケット販売枚数の推移

図 伊丹まちなかバルの来訪回数(第4回)

関西一円に飛び火

さらにその勢いは衰えず、この秋、関西の約20地区に及ぶ様々な地域に、増殖しています。
各地区では、それぞれの地区の立地特性(都心部、郊外駅前、郊外住宅地等)、まちの資源(水辺、ベイサイド、クルーズ、地産池消、町家・街並み、歴史、音楽など)を踏まえながら、独創性のある其々の「まちなかバル」が展開されています。
これほどまでに、様々な地区への拡がりを見せているのは、「参加者」もお得感で楽しめ、「お店」も新規顧客開拓・PRの場として活用でき、「まち」も賑わうという、「三方良し」の<まちなかコミュニケーション・イベント>であるのと、補助金に頼らず、継続的に開催できるように、売上げの一部を運営費に活用できるシステムで運営しているからだと考えます。


表 関西の9月~11月まちなかバル開催地

近畿バルサミット、全国バルまち会議へ

このような各地区での拡がりを受け、今年5月には、伊丹市で「第1回近畿バルサミット」が開催され、各地区の仕掛け人達が集まり、熱い情報とエールを交換しました。第1回サミットでは、今後、その活動をさらにも盛り上げるために「近畿バルネットワーク」が組織化され、現在、メーリングリスト等を活用した情報交換と事務局ならではの悩み相談が繰り広げられています。
そして、この9月10日にバル発祥の地「函館」で、第16回「函館西部地区バル街」に併せて、弘前バル街(青森県弘前市)、カリアンナイト(愛知県刈谷市)、バルウォーク福岡(福岡市)そして伊丹まちなかバル(兵庫県伊丹市)などの事務局の方々約100名が集まって「バルまち会議inHAKODATE」が開催されました。
バル街会議では、バルは「人と人との会話、コミュニケーション」が重要であり、分かりやすいシンプルな仕組みの中で、それぞれの地域で培われてきた資源や魅力を活かし、工夫していくことが大切であるなどの意見交換がなされました。


まちなかバル発祥の地「函館西部地区バル街」

エリアマネジメントの第一歩としてのバル

中心市街地の活性化が叫ばれ出して約15年、全国の様々な地区で、関係者の方々の献身的な活動や事業が展開されていますが、数地区の成功例を除いて、なかなか次の一歩が見えないのが現状です。
伊丹では、「まちなかバル」という年2回のイベントですが、この活動のプロセスを通じて、店主、市民、NPO、商工会議所、行政等の方々が、本気で膝を交えて「信頼による人と人のつながり」を築いていっておられるのを、ヒシヒシと感じています。
今後、このような地域でのコミュニケーションを大切にした活動を通じて、各地区で、「訪れてみたい」、「店を出してみたい」、「住んでみたい」という地域ブランド力を高めていくための(1)組織運営、(2)デザイン、(3)プロモーション、(4)地域経済によるエリアマネジメントが芽生えていくと考えます。


歴史的な街なみと音楽とまちなかバルで行列
(伊丹まちなかバル)

路地のさらにその先の店へ
(木屋町こころいきフェスタ)

アルパックニュースレター169号・目次

2011年9月1日発行

「まちづくりとエリアマネジメント」

ひと・まち・地域

きんきょう

メディア・ウォッチ

まちかど