アルパックニュースレター179号

少子高齢社会対応ビジネス事例集を作成しました

執筆者;地域産業イノベーショングループ/武藤健司・高野隆嗣

経済社会ビジョンに位置づけられた「課題解決型産業」

 経済産業省が平成24年6月に取りまとめた「経済社会ビジョン」では、今後の新成長産業分野の1つとして、少子高齢化等に伴う労働力人口の減少や社会保障費の増大といった日本社会が直面している社会課題を解決する産業(課題解決型産業)を挙げ、支援していくこととしています。
 これを受けて、近畿経済産業局では、関西地域で展開されている課題解決型産業の掘り起こしを行うとともに、ヒアリング調査による取組状況等の実態把握、少子高齢社会対応ビジネス事例集の作成を行い、当社がその業務をお手伝いしました。

少子高齢社会に対応したビジネスとは

 今回の調査は、上記の社会課題を解決するとともに、潜在ニーズを掘り起こすことで、今後、雇用を創出する成長産業となり得る側面を持つ「子育てサービス」、「ヘルスケアサービス(介護予防サービス)」、「人材育成サービス」に焦点を絞り実施しました。
 例えば、当日朝の依頼でも対応する病児保育サービス、電話により高齢者の安否確認を行う見守りサービス、フィットネスクラブが医療機関と連携して行う介護予防サービス、働く女性の家庭と仕事の両立を応援するコアタイム型の人材派遣サービスなど、上記の社会課題に対して「こんなサービスがあったらいいのに」を展開しているビジネスです。
 このようなビジネスは、例えば民間事業者による夜間の学童保育サービスなど、従来の公的サービスの不足を補完する形で展開されており、さらに、他事業者との連携、公的サービスでは提供できていない付加価値(学童保育であれば、学習塾機能や送迎機能等)により、利用者ニーズに柔軟に対応した質の高いサービスを提供し、顧客を獲得していることが特徴です。
 特徴的な15の事例を「関西地域における少子高齢社会対応ビジネス事例集」で紹介していますので、是非ご覧ください。
【事例集のホームページ】
http://www.kansai.meti.go.jp/7kikaku/24fykadaikaiketugatasanngyou/top.html

社会課題の解決に向けて

 業務では、このような社会課題の解決に取り組む事業者に対してヒアリングを行い、事業の経緯や特徴、今後の展開等をお聞きしました。どの事業者も「女性が働きやすい社会を作りたい」など、社会課題の解決に向けた熱い思いに加え、自ら仕組みを作りだす独自性、継続したサービスを提供するためのビジネス性を併せ持っており、とても魅力的でした。
 ご承知のとおり、少子高齢化は今後さらに加速し、各自治体においても施策として推進する重要性が増しています。こうした社会課題を解決するには、「施設が足りないから作る」だけでなく、「民間事業者の参入を支援する」などの対策により課題解決型産業を振興するとともに、雇用者側の意識改革により「子どもが病気の時ぐらい会社を休んでいい」という働きやすい職場環境を創り出すなど、社会課題そのものを減らす動きが求められているように思います。


アルパックニュースレター179号・目次

2013年6月1日発行

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