アルパックニュースレター179号
和歌の浦景観重点地区が指定されました
和歌山市を代表する景観といえば、徳川御三家の一つとして栄えた城下町を象徴する「和歌山城」及びその周辺、そして、万葉の時代から行幸の地として有名で歌にも詠まれた、風光明媚な景勝地である「和歌の浦」が挙げられます。
和歌山城周辺地区は、きめ細かなルールを設定し、景観上重要な地区として保全を進める地区「景観重点地区」の第一弾として、市の景観計画策定と同時に指定されました。今日、第二弾として「和歌の浦」の景観重点地区指定をめざし、平成23~24年度と二ヶ年をかけて取り組み、この平成25年3月に指定されました。
景観ワークショップを通じた提案
検討にあたっては、地元住民や活動団体の方々と景観ワークショップを実施し、「どのような景観をめざすのか」「そのためにどのような取り組みを進めるのか」などを話し合い、その結果を地区指定の検討へと反映させました。立ち上げの経緯はニュースレター173号「和歌の浦景観ワークショップ」でもご紹介していますし、一連の成果は市のホームページでも公表されているので、そちらもご覧ください。
景観重点地区指定のポイント
地区指定のポイントとして幾つかご紹介します。
まず、「和歌の浦」といえば、町名でいう「和歌浦」「新和歌浦」がイメージされますが、検討に際してはその西側に位置する半島部の漁村「田野」「雑賀崎」も対象に含めました。これらの地区では斜面地に家屋が密集する独特の漁村の景観が特徴的であり、万葉の景観とあわせて光をあてるべき重要な景観と考えたからです。
次に、「和歌の浦」地区が湾を取り巻く囲繞地(いにょうち)であり、その湾を一望できる良好な眺望点が数多く位置しています。ワークショップで出されたポイント等から代表的な眺望点を定め、そこから見える範囲を基本に区域を設定しました。ルールにおいてもこの眺望を重視し、眺望点からの配慮を主な内容としています。
さらに、地区内には市町川と平行する「あしべ通り」など、地区内の資源を結ぶ重要な路線があり、「沿道のまちなみのルールも考えるべきでは」といった意見もワークショップでは出されましたが、「沿道の住民の意識が重要であり、次の段階で進めていくべき」という意見もあり、住民発意でのまちなみルールづくりは次のステップと位置づけました。この地区指定はあくまでもスタートとして、わがまちのまちなみ景観をどうするかを考えていくきっかけになればと考えています。
![]() 和歌の浦のシンボル、不老橋 |
![]() 半島に家屋が密集する田野の景観 |
地区を知ってもらうイベント
景観重点地区指定とあわせて、この地区の魅力を知ってもらうために、毎年地元の団体「トンガの鼻自然クラブ」がお彼岸に開催している「夕日を見る会」とタイアップし、地区内をめぐるウォークを開催し、多数のご参加を頂きました。
地元の人は、海原に夕日が差し込み、キラキラと花が降るように見える様子を「ハナガフル」と言っておられます。とても素敵な言葉だなあと感心し、楽しみにしていたのですが・・・・非常に残念なことに、当日は雨に見舞われてしまい、せっかくの夕日は見ることができませんでした。
しかし、田野では自治会の方から地元で伝わる方言の解説を頂くとともに、タイミング良く雑賀崎の漁師さんが帰漁してきたところに出くわし、獲れたての魚を販売して頂くという嬉しいハプニング?もありました。参加者の方々は大変満足して頂いたようで、「もっとPR頑張らないといけないのでは?」という声もありました。
眺望を楽しめるツール
さらに、この地区の素晴らしい眺望を体験できるツールとして、インターネット上で眺望を擬似的に体験できるサイトの立ち上げをお手伝いしました。360°のパノラマが画面上で自由に楽しめます。ぜひ市のホームページをのぞいてみてください。
和歌の浦をもっと楽しんでほしい
インターネットでも眺望を楽しむことはできるのですが、やっぱり現地でその景観を味わって、楽しんで頂きたいと思います。最近では、お魚の美味しいお店や新鮮な魚を購入できる店舗、海辺を望めるおしゃれなお店も出てきています。景観としては申し分のない資源がたくさんあり、様々な活動もたくさん展開されています。
ただ、個人的にはまだその楽しみ方の発信が十分できていないと感じています。市内にお住まいの方でさえ、その楽しみに気づいておられないかもしれません。今回の取り組みを機に、もっとこの素晴らしい景観にいろんな人の楽しみ方が加わり、活き活きとした景観になっていけばと願っています。
市のホームページURL:
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/menu_1/gyousei/toshiseibika/wakanourashitei/index.html
![]() 雑賀崎で獲れ立ての魚を購入 |
![]() 眺望を体験できるホームページ |
アルパックニュースレター179号・目次
寄稿
ひと・まち・地域
- 地域から少子高齢化への対応を考える(その1)~女性就業率が高いと出生率も高い~/代表取締役社長 森脇宏
- 都市部の友好都市をねらえ!過疎地域の再生実験~京都府京丹後市(久美浜)×京都府木津川市
/地域産業イノベーショングループ 原田弘之・地域再生デザイングループ 森岡武 - 少子高齢社会対応ビジネス事例集を作成しました/地域産業イノベーショングループ 武藤健司・高野隆嗣
- 日本と台湾のビジネスマッチングを支援します/ 地域産業イノベーショングループ 高野隆嗣・江藤慎介・松田剛
- 中小企業が海外展開しても国内は空洞化しない!~関西中小企業の海外展開実態調査のご報告
/地域産業イノベーショングループ 江藤慎介・高野隆嗣
きんきょう
- 和歌の浦景観重点地区が指定されました/都市・地域プランニンググループ 絹原一寛・依藤光代
- みんなのNPOの活動報告!/公共マネジメントグループ 廣部出
- 小阪商店街の「若手」商店主が中心になって「まちゼミ」をしました
/都市・地域プランニンググループ依藤光代 - 新人紹介/地域産業イノベーショングループ 片野直子











