レターズアルパック205号
特集「秋の夜」
大阪湾秋の風物詩「タチウオ釣り」
執筆者;地域産業イノベーショングループ/山部健介
私は一年を通じて、四季折々さまざまな釣りを楽しんでいるが、秋は回遊魚であれ根魚であれ、その気になれば、どんな魚とも遊ぶことができる。
今回、紹介するのは、大阪湾秋の風物詩「タチウオ釣り」である。タチウオは、スーパーでも700~800円で切り身が販売されており、食卓にとっても身近な魚だろう。生態的には、北海道〜九州南部沿岸域の表層から水深400メートル 程度の泥底近くで群れて生活しているが、河口など汽水域まで入ってくることもある。毎年、9月下旬~12月上旬にかけて、大阪湾では岸からの釣り(「おかっぱり」)でも手軽に狙えるようになり、釣り場はどこもタチウオ狙いの釣り人で混雑する。特に、武庫川~西宮浜一帯は、魚影が濃く、タチウオ釣りの「メッカ」とも呼ばれており、私も頻繁に出没している。
タチウオを狙う時間帯は二つ、早朝と夕方から日没後数時間であるが、この釣りの醍醐味は「夜間のウキ釣り」にある。夜釣りの場合、視認性を高めるため、小型のリチウムイオン電池等を搭載した「電気ウキ」という発光ウキを使うことになる。発光色は、緑・赤・白など様々である。
さて、釣りを開始しよう。夕方、釣り人は一様に電気ウキを準備して、エサのキビナゴを付けて、一斉に海に投げ込む。隣の釣り人との間隔は5メートルほどしかなく、窮屈である。完全に夜の帳が下りた19時頃、そこには幻想的な景色が広がる。色とりどりの電気ウキが岸から10~15メートルの距離で整列しており、その背後には六甲山の夜景が広がる。毎年、この景色をみるたびに、秋が来たと思うのである。そんなことを考えながら、今日も私は釣具屋へ向かうのである。皆様も、ぜひ大阪湾秋の風物詩をご堪能あれ。

タチウオ釣りの風景(西宮市鳴尾浜)
レターズアルパック205号・目次
2017年9月発行
特集「秋の夜」
- 特集「秋の夜」/レターズアルパック編集委員会
- 東京の夜景を気軽に愉しもう/山崎将也
- 博多の夜の風物詩「屋台」を楽しむ/九州事務所((株)よかネット):山崎裕行
- ちょっぴりミステリアスな銭湯ナイトツアー/中村孝子
- 大阪湾秋の風物詩「タチウオ釣り」/山部健介
- かの文豪も愛したカフェの過ごし方/長沢弘樹
今、こんな仕事をしています(業務紹介)
- 「えきまちテラス長浜」がグランドオープンしました/中塚一、馬場正哲、松尾高志、西村創、原田捻、三浦健史
- 純米吟醸「藤袴」はロマンの香り/原田弘之
- 和歌山市の歴史文化を活かしたまちづくりの機運が高まっています/松下藍子
- “ひまわりオイル”ד○○○”お気に入りの食べ方を見つけよう!/武藤健司
- さらなる進化をめざす京都市の景観政策/坂井信行
- 気候変動適応策 地域コンソーシアム事業がスタートしました/畑中直樹
地域に寄り添って地方創生を考える
きんきょう&イベントのお知らせ
- 「文化資産」を活かす/三輪泰司
- 長野市善光寺の空き家再生視察~他地域での空き家活用につなげるには/竹内和巳
- 「集落を復興する」ということはどういうことかを考える~新潟県長岡市山古志(やまこし)地域を視察して~/羽田拓也







