アルパックニュースレター161号

嵯峨野山陰線のその後・・・複線化工事の完成と消えたカボチャ列車

執筆者;京都事務所 山崎裕行

 ニュースレター156号の続編となります。
 話の舞台は、嵯峨野線です。山陰本線の中でも京都から園部間を指すこの線では、昭和54年に京都駅~園部駅間の複線化および京都駅~綾部駅間の電化が決定されて以降、京都市内の一部区間の高架化工事も併せて、段階的に複線化工事が進められてきました。そして、30年余りが経過した平成21年3月31日についに完成したのです。
 この完成により、(1)ラッシュ時の快速の増発、(2)日中の運転間隔の均等化がなされ、利便性は非常に高まりました。これは、やはり嬉しいことなのですが、その影で、姿を消してしまったものがあります。
 そう、それこそがカボチャ電車こと113系直流近郊型電車です。
今回の改正に伴い、京都から園部間の電車は、全て221系又は223系に置き換えられたのです。
 ちなみに221系というのは、京都から大阪間で言うと主に快速電車として走っている車両、223系というのは同区間を主に新快速電車として走っている車両です。
 ニュースレター156号でも触れましたが、この113系というのは誕生してから既に30年以上が経過しています。そのため、全国的にも、徐々に見ることができなくなっている車両です。
 嵯峨野線では、電化されたのが平成2年だったと思うのですが、その時から、ほぼ20年、この路線の顔として走り続けてきたわけです。テッチャン的には、「お疲れ様!!」と声をかけてあげたいわけです。ちなみに、関西では草津線や湖西線でまだその姿を見ることが出来そうです。


嵯峨野線複線化の記念入場券の台紙(写真 左:223系 右:221系)  

 それにしてもカボチャ電車とは、良いネーミングだと思いませんか。そう言えば、色々なユニークな愛称を持つ列車も増えました。
 「たま電車」や「いちご電車」は非常に有名ですよね。私の故郷である九州には「ゆふいんの森」や「海幸山幸」「いさぶろ・しんぺい」などの愛称を持つ列車も走っています。
 ちょっと話はそれますが、九州の列車の内外装のデザインのレベルは、日本一、いや、世界にも誇れると個人的に思っています。「ワクワク」「ドキドキ」するデザインが提供されています。九州にお越しの際は是非!!
 時代の変化ともに、列車に求められる機能も変化してきているのだろうなと思います。安全・安心はもちろんのこと、快適性や、「ワクワク」「ドキドキ」という、人間の感覚(感性)に響く要素も重要になってきているのだと思います。
 まちづくりにも、色々な分野がありますが、人々が「ワクワク」「ドキドキ」するような展開を生み出すことは、考えなくてはならない要素の1つと言えるかもしれません。

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2010年5月1日発行

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