アルパックニュースレター161号

若狭高浜から奈良・平城京へ御贄を献上
~せんとくんと赤ふん坊やのご対面~

執筆者;大阪事務所 原田弘之

 今年はご存じの通り、平城遷都1300年祭の年で、GWを迎え、やっと奈良でも盛り上がりつつあります(筆者は奈良在住)。これに関連してさまざまな行事が目白押しですが、福井県の若狭高浜から「すし」を献上する行事が開催されました。


大極殿めざして行列

奈良と若狭高浜との関わり

 奈良と若狭と言えば、東大寺・二月堂のお水取りと若狭小浜のお水送りというつながりがありますが、食の分野では、御食国であることから、若狭高浜と平城京のつながりがあります。平城京跡から発掘された荷札木簡に、当時の高浜から都である奈良に「多比鮓(鯛すし)」などを「御贄(みにえ)(税)」として献上したことが記されていたのです。その荷札木簡が最古であることから、「すし発祥の地」として高浜町では鮨のブランド化を進めており、アルパックは、このブランド化を支援しています。

当時の「すし」の復活を

 平城遷都1300年祭に若狭高浜から御贄献上行列を復活させ、祭りをお祝いするとともに、高浜ブランドを発信することになりました。当時献上していた「多比鮓」は、「なれずし」のようなもので、本当は半年から一年以上かかるのですが、今回は、郷土料理研究家の奥村彪生氏に監修いただき、米麹などを使って2ヶ月ほどで再現しました。想像より、美味しくでき、これから特産品となる可能性もあるようです。そして、行列はそれを届けるために、若狭高浜から、おおい町、南丹市美山、京都市右京区京北、京都市、木津川市、奈良と、130㎞の道のりを4日間かけて踏破するのです。さすがに大勢の行列は難しいので、4人が代表選手となりました。行程や状況は、web上に御贄献上行列旅ブログに掲載されています。

御贄献上式

 平成22年4月24日平城遷都1300年祭のシンボルである大極殿がオープンしました。その日の午前10時、前日奈良に到着した4人の御贄献上行列の踏破者と、当日かけつけた高浜町民が朱雀門で合流し、100人以上となって大極殿をめざして歩き始めました。多くの来訪者が見守る中、現代版の御贄献上行列の再現です。
 献上式では、奈良市長などの歓待を受け、御贄献上の報告に続いて、「多比鮓」の試食も行われ、「おいしい」の一言。平城遷都1300年祭の公式マスコットキャラクターの「せんとくん」も登場し、高浜町からは「赤ふん坊や」もかけつけ、お互いの親交も深めました。
 なお、会場近くのイトーヨーカ堂奈良店では、これに合わせ、「若狭高浜」直送市が6日間開催され、「若狭たかはま鮨」をはじめ、海の幸、山の幸などが販売されました。
 全国各地で活性化の取組が行われています。こうした、「食」「歴史文化」「特定の都市との交流」「個別の店や商店街との連携」などが、地域づくりの最近のキーワードかなと思っています。


現代版の多比鮓(鯛すし)。米麹に漬け込む

御贄である「多比鮓」

せんとくん(右)と赤ふん坊や(左)

御贄献上式。中央が奈良市長

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2010年5月1日発行

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