アルパックニュースレター172号

特集

いきつづける城跡、竹田城

執筆者;大阪事務所 小阪昌裕


今まで、洲本(兵庫県)をはじめ、村岡、豊岡、柏原、篠山、三田、三木、他府県では長浜、亀岡、田辺等の、特に近畿の小城下町のまちづくりを経験してきました。今回は、日本のマチュピチュとして人気上昇中の竹田城(朝来市)の取り組みを紹介します。

いきさつ

今まで、洲本(兵庫県)をはじめ、村岡、豊岡、柏原、篠山、三田、三木、他府県では長浜、亀岡、田辺等の、特に近畿の小城下町のまちづくりを経験してきました。今回は、日本のマチュピチュとして人気上昇中の竹田城(朝来市)の取り組みを紹介します。

巡り

今回は、街なみ環境整備事業により、竹田のまち内の活性化をめざし山頂の城跡と城下のまち内を一体化させる方法についての計画づくりを行いました。まず、かつての造り酒屋の建物を活用しまち内の滞在時間を延ばしお金も落としてもらえる交流拠点としていく考え方に関連し、1ヶ所だけではなく歩いて楽しいまち内全体の魅力的な空間づくりの提案です。内容としては、寺町の街並みや鉄道下を流れる水路等周辺には、昭和時代の懐かしさのある景観が残っており、その保全活用策です。その場合に必要となるのは、地元の人が参加する交流拠点の経営方法やまち内の景観保全の維持のしくみづくりです。
  交通手段別では、徒歩の来訪者が安全に上下の移動を誘導するため、手すりや階段等の遊歩道の整備、回遊ルートの提案を行いました。また、市が昨夏社会実験として行った電動アシスト付きレンタサイクル運行のルート整備、さらに試験実績のあるシャトルバスの運行形態、ルート、道路整備の提案です。安心してまち歩きができるように自動車の駐車場の設置、一方通行の検討を行いました。

誘い

城跡めざして訪れる人を安全に誘導し、城下町の魅力も体験してもらいその結果竹田のまちも活性化するように、ITの時代の中で、現地での多様な情報発信が問われています。そのような考え方のなかで、案内板、説明板等の設置を、駅前、駐車場周辺、国道からまち内の入り口付近、登山道の登り口、寺町周辺等に考えています。その場合大切になるのが、そのサインをよび水にしながら、まち内を人が行き交い、巡り、立ち止まり、言葉を交わすしかけづくりです。まちづくりのツールとしてのサインとして、地元住民と来訪者が一緒につくっていき、常に変化し続けることができるような情報提供としてのイメージが大切です。

結び

古城山と眼下に流れる円山川がつくりだす立体感のある歴史的景観を大切に守り、人を引きつける山城からなつかしさで人を和ませる城下へ、山頂からの眺めを生かして上と下の人をいかに導き結びつけるかがこれからの竹田のまちづくりのポイントと考えられます。
  但馬の玄関の立地条件を生かし、山、川、まち内の3つの要素の相乗効果により、また立ち寄ってみたくなる、さらに季節や時間帯、同行者、目的をかえてわざわざ行ってみたくなるよう、訪れるたびに新たな自分を発見できる城跡としていきつづけてほしいと期待しています。

アルパックニュースレター172号・目次

2012年3月1日発行

特集「まちづくりと城」

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