アルパックニュースレター172号

守山市歴史文化まちづくり館「守山宿・町家“うの家”」が完成しました

執筆者;京都事務所 三浦健史
建物外観
建物外観
建物外観
建物外観
オープニングであいさつする(株)みらいもりやま21清原健社長 後ろは宮本和宏市長
オープニングであいさつする(株)みらいもりやま21清原健社長 後ろは宮本和宏市長
吹抜けの架構がダイナミックなニワ
吹抜けの架構がダイナミックなニワ

ニュースレター169号でベンガラ塗りワークショップをご紹介した滋賀県守山市の歴史文化まちづくり館、愛称「守山宿・町家“うの家”」が完成し、1月29日にオープンしましたのでご紹介します。

経過

平成20年度に、守山市では中心市街地活性化基本計画が認定されました。歴史文化拠点施設整備として「うの家」の計画も事業の一つとして位置づけられており、国土交通省の社会資本整備総合交付金(市のA工事)と経済産業省の戦略補助金(指定管理者のB工事)を受けています。一昨年に設計プロポーザルでアルパックが選定され、工事監理についても、またテナント部分の設計監理もすることになりました。

建物について  

中山道守山宿の街道筋に「うの家」はあり、付近には昔ながらの町家が残っています。「うの家」は愛称募集で決まった名前ですが、元は第75代内閣総理大臣の故宇野宗佑氏の生家です。主屋は間口9.5間の大きな町家で、19世紀始め(江戸後期)~明治初めに建てられたものです。同じ頃から造り酒屋をされており、敷地内には多くの蔵があったようです。計画時点では蔵が3棟残っており、全て活用しています。

改修方針

「昔の町家をできる限りありのまま残す」という一見普通の方針が実は難しいことでした。主屋には吹抜けのニワの一部が部屋として囲われていたり、蔵と主屋の間は使い勝手からポリカの屋根がかけられたり、と様々な改修がされていました。改修された箇所についてはできるだけ原状復旧するようにしました(いつを原状とするかもムズカシイ)。一方、用途を変えて使うことや耐震補強(限界耐力計算による)、法規制など変更しないといけない部分も多く、このあたりのさじ加減が悩ましいところでしたが、元の町家の力強い架構と改修工事の職人たちの仕事が相まって、魅力的な空間になったように思います。

施設の活用

機能としては大きく、展示、市民利用スペース、テナント(飲食)の3つです。展示では、戦後に改装されたと思われる洋風の応接間で宇野宗佑氏の業績を、また蔵の中でも格が高い文庫蔵で森口華弘氏の友禅作品や制作方法等をグラフィックと映像で紹介しています。蔵には市民が利用可能な市民ギャラリーや市民活動スペース、奥の南庭にはマルシェなどのイベントに使えるよう広いスペースを設けています。テナントについては、まちづくり会社の(株)みらいもりやま21が指定管理者となり、近江牛と豆腐のレストランが主屋の座敷に、そばとコーヒーのカフェが元の米蔵に入っています。

オープン後

2週間くらい経った平日午前に寄ってみました。ギャラリーでは市民の方が手づくりの竹の行燈や陶芸などを展示されていましたが、頻繁に変わっているようで毎回違う展示を楽しめます。寒い日でしたが南庭のベンチでも数名の方が休まれていました。ワークショップや情報発信、更には(株)みらいもりやま21の皆さんの努力もあって、多くの方が訪れています。今後ますます市民の皆さんに愛される施設となるよう願っています。近くに行く機会があればぜひお立ち寄りください。
守山宿・町家“うの家”ホームページ
http://www.unoke.jp/


森口華弘氏の作品展示

南庭 夜景

アルパックニュースレター172号・目次

2012年3月1日発行

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