アルパックニュースレター177号
地域に根ざして30年
名古屋30年の御礼
名古屋は今年で事務所開設満30年。「まちの町医者」、「まちづくりミュージアム」、行動するシンクタンク・コンサルタント・デザイン集団「ドゥータンク」を自認し、名古屋~中部圏を中心に、時には関東、中国、四国、九州にも足を伸ばして活動を続けてきました。ひとえに私達に仕事の機会をご提供下さった各地の皆様方のご支援があればこそと、心から感謝を申し上げます。有り難うございます。
荒波を乗り越えて
30年の後半では、まちづくりや地域計画の業務が国と地方の財政事情から低迷を続ける中、事務所のリノベーションに努力を傾注し、何とか、出口が見える状況に来ました。
次の50年をめざして
30年を期に、これからは、経済の低迷と政治の混迷に愚痴を言うのを止め、夢を持って生きる持続するまちづくりの働きかけを続けながら、私達の職能の継続と改革を軸にアルパック名古屋の再生と世代交代を進めます。引き続きご指導・ご支援を賜りますようお願いいたします。
近況の報告
◇名古屋城本丸御殿
四半世紀に渡り市民運動を展開した名古屋城本丸御殿の復元は、全体を3期に分け、今年5月29日、その第一期、玄関虎の間、表書院から部分公開されます。楽しみです。
消失前の名古屋城が旧国宝城郭建築第一号であったことはあまり知られていません。
桂離宮古書院と同じ1615年創建の正統的武家書院建築の復元は、こけら葺きの最盛期の姿に復元され、工事現場でさえ大変見応えがあり、完成後は建物と一体に復元模写された障壁画とともに創建400年の歴史を超えた武家文化の神髄を見ることが出来ます。是非お越し下さい。
◇地域まちづくりの広がり
地域に根ざして30年、地域主体のまちづくりを息長く応援し続け、昨年は新たに5地区を応援しました。
名古屋市のスタンスもあって、今、地域まちづくりが名古屋に広がっています。
都心に関しては、西は名古屋駅新幹線口から東は栄東まで、広小路・錦通の沿道ブロックのほとんどで、地域に即した特色あるまちづくりが動き始めています。以下、都心~周辺の主な例を紹介します。
◇栄ミナミ地域活性化協議会
私達が開発計画に関わった中央高校跡地のナディアパークと矢場公園を核に、複数の町内会と商店街が連合する栄ミナミ地域活性化協議会が音楽祭、盆踊り、グルメ選手権、ナゴリン(アイススケートリンク)の四季のイベント実績を踏まえ、昨年から南大津通のホコ天を復活させました。
◇太閤通口まちづくり協議会
ともすれば駅裏と言われ、超高層ビルの再開発が続く駅東との格差が見られる名古屋駅新幹線口で、安心・安全・防犯の働きかけをきっかけに、町内会・住民・ビルオーナー・商店・ホテル・専門学校が一緒になり、市や区役所、警察の応援を得て、まちづくり協議会を設立しました。
当面、まちづくりの構想づくりを目標に、協議会設立後半年で、専門学校が協力したアニメ・キャラクターの製作、地域からスタートした美少女アイドルグループ・デラの参加など地域の特徴を活かしたユニークなイベントを開催、盛り上がっています。
◇荒子の里協議会(都心外)
戦国武将の一人、前田利家の出身地・荒子は中世の荘園以来続く歴史的な旧集落地で、尾張四観音の一つ観音寺があり、磨けば光る特色のあるまちとして、前々からその可能性に着目していました。
ここで、従来の地域活動の実績をもとに住民・ボランティアグループ・地場企業の方々で協議会を設立しました。
地域の魅力の発信やガイド、ど真ん中祭の荒子版・歌舞伎もん祭、前田公出身地としての金沢との交流などの実績をもとに、名古屋市の都市計画マスタープランの地区の位置づけを契機にして、市や区の後押しで協議会を設立し、梅の里づくりなどのアクションと併行して、まちづくりの構想づくりをめざしています。
前田利家公の故郷に代表される地域の歴史、馬道具(ばどん)などの伝統的な祭文化、観音寺と円空仏、槇の生け垣と家並みの美しい門前集落景観、新交通機関あおなみ線の駅前広場には前田利家像など豊富な地域資源を持ち、地域に住む人々の誇りの高いまちだけに、地域のまちづくり課題は多彩・多様です。
これから協議会がどのようにこれらを活かして展開していくのか、注目されます。初動期のまちづくりは地域の認知を得るまでに苦労が多いものです。じっくり、確実に応援していきたいと思います。
◇芸術と科学のまちづくり
昨春、世界最大のプラネタリウムを持つ名古屋市科学館がリニューアル・オープンし、秋に開館50周年を迎え、いまだに早朝から入場予約券を待つ人の列が並び、観光バスが各地から訪れる人気です。
事務所から5分、何時でもご案内します。お訪ね下さい。
今年は隣の名古屋市美術館の開館25周年。一昨年末に名古屋商工会議所を介して、両館がある白川公園を「芸術と科学の杜」と位置づけ、地元連携の相談を受けました。
芸術と科学のまちづくりなら、アルパック名古屋の得意。日頃の地域ネットワークを活かし、地元2商店街・4町内会・地場企業の方々とまちづくり準備会をつくり、地域と両館との仲立ちをしました。
地域貢献のための協賛企業名入り街路灯バナー掲載が、名古屋駅地区まちづくり協議会の努力で昨年から可能となり、おかげで広小路と桑名町の商店街街路灯81基に科学館50周年企業協賛バナーを掲載することができました。
一方、来館者がまちで食事する店を知りたいとの要望から、まちづくり準備会がマップを作成、初回は実験で掲載無料とし50店舗近くの応募でしたが、有料の本番では半減。まちづくりの難しさです。
11月3・4日(土日)の科学館50周年当日は、地元店舗・企業・コンベンション・ビューローの協力で、科学館敷地内でバザーを開催。初の地域連携イベントは、公共文化施設が発端となるまちづくりとしては名古屋第一号。好評の反面、課題も残りました。
相談を受けて1年以内、超特急でここまで来ました。今後は地元のまちづくりが確実に進むことが本音の狙いです。
今、名古屋都心では11地区で地域まちづくりが展開し、新しいまちづくり時代の到来をひしひしと感じます。引き続き、応援を続けて行きます。
![]() 科学館 |
![]() 科学館50周年企業協賛バナー |
![]() 科学館と地元の清掃活動 |
![]() 科学館イベント |
アルパックニュースレター177号(新年号)・目次
新年の挨拶
ひと・まち・地域
- 三重県の新しいお米「結びの神」が誕生!
/産業・地域経済イノベーショングループ 原田弘之・武藤健司 - エネルギーの「見える化」!豊中市での市民向け省エネ推進社会実験
/環境マネジメントグループ
山﨑衛・中川貴美子・森野真子・畑中直樹 公共マネジメントグループ 石井努 - びわ湖の森を元気するkikitoの取り組み~ニュースレター今号は“森林整備に貢献する紙”で発行
/環境マネジメントグループ 中川貴美子・畑中直樹 - 期間限定サブリースPROJECTによる大和・町家の利活用
/地域再生デザイングループ 岡崎まり・嶋崎雅嘉・中塚一
きんきょう
- 地域に根ざして30年/名古屋事務所 尾関利勝
- 堺高校発、学校から始まるエコな建物の使いこなし/環境マネジメントグループ 畑中直樹・森野真子 建築プランニング・デザイングループ 原田稔
- 震災復興と観光のチカラ/公共マネジメントグループ 高田剛司
- 都市を計画する仕事のこれから/代表取締役会長 杉原五郎
- アイスポットニュース/都市・地域プランニンググループ 絹原一寛











