アルパックニュースレター177号

海と島と街を巡るクラフトフェア「瀬戸内生活工芸祭2012」

執筆者;地域再生デザイングループ/森岡武


女木島(生活工芸の5つのかたち 三谷龍二)
海岸沿いのビーチハウスを改修:入場するのに1時間かかった


 今年度、「市民一人一人が創造的に働き、暮らし、活動する都市」をめざす『高松市創造都市推進ビジョン』策定のお手伝いをしています。
 そんな中、昨年11月23日(祝・金)~24日(土)に開催された瀬戸内生活工芸祭2012に行って来ました。会場は高松駅近くの玉藻公園とフェリーで約20分の目と鼻の先の女木島。三連休の初日でもあり新大阪で足止め、高松に着くと長蛇の列。なかなか会場にたどり着きません。深夜バスは満席、市内のホテルは満員といった盛況ぶりで、日帰りを予定していましたが、結局宿泊する破目に。これほど多くの人たちは、何を求めて集まったのでしょうか?
 会場構成は、クラフトマンの作品展示・販売(87ブース)と生活工芸を考える企画展。ガイドブックによると生活工芸を作る人たちと、それを使う人たちが、仕事の実りをともに祝う収穫祭とあります。
 訪れた人たちは、島に渡ったり、大きな公園に抱かれたり、ちょっとしたトリップ感とゆったりとした時間と空間の中で、手に取った生活工芸品を介して日々の暮らしに想いを馳せたり、本当に豊かな一時が過ごせます。
 祭りのディレクターによると、この手のクラフト展、アート展は日本中に浸透し、作家や作品も広く知れ渡り、プログラムとしては終焉を迎えつつあるといいます。では仕掛け人はどこに向かっているのか?生活工芸はスペシャルではなく、日常であることを意識し、それらに囲まれて暮らす豊かな地平を見据えているようです。この考え方はまちづくりにも通じると思います。
 以前、世界で活躍するデザイナーの喜多俊之さんから、世界に通用する日本のデザインは、「手の痕跡を残す丁寧なモノづくり」だとお聞きしたことがあります。
 我々が手掛けるまちづくりも手の痕跡を残す丁寧な仕事をしないといけないと考えた2日間でした。


玉藻公園内の披雲閣(忘れられた器 赤木明登)
:蔵に眠っていた器らしい

玉藻公園内の披雲閣
(道具の起源 赤木明登)

アルパックニュースレター177号(新年号)・目次

2013年1月1日発行

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