レターズアルパック203号

特集「ぶらり」
ほっこりとドキドキが共存する京都の路地歩き

 グループが取り組んでいる特徴的なプロジェクトの一部を紹介します。
執筆者;都市・地域プランニンググループ/中井翔太

今、京都では路地に改めて注目が集まっています。

 京都というと、表通りにりっぱな京町家が連続する町並みを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際、京都の都心部は建物が碁盤目状の通りに面することを前提に作られており、街割りの真ん中(あんこ)の部分は余地・残地でした。この様な余地に住まいを築き、さらにアプローチのために残された細い土地が路地なのです。地域により路地が出来た経緯は様々なようですが、かつて都会に惹かれ集まった人々が、残された土地で如何に豊かな暮らしの基盤を築くかを摸索する中で、路地は生まれてきたといえます。
 そんな京都の路地の魅力とは何なのでしょうか。


多数のアーティストの活動・暮らしの場として有名な「あじき路地」
共同井戸や地蔵など路地アイテムも路地歩きの醍醐味

路地を覗いてみる

 ある路地に足を踏み入れてみました。観光客で賑わう表通りとはうってかわり、落ち着いた空気が漂います。しかし、その落ち着きは決して整然とした一定の規則性によるものではありません。路地の端に目をやると、自動車の駐車スペースや園芸を楽しむ庭がない代わりに、軒下に自転車や鉢植えが置かれています。どちらかというと雑多な印象を受ける路地の〝落ち着き〟は、それぞれのライフスタイルにフィットするよう、住まい手が限られた空間を使いこなし、安定した住まい方の答えを出している様から醸されるものなのでしょうか。
 住まいから漂う香りから「今夜の夕飯は何かな」などと想像しながら歩くなど。路地独特の〝落ち着き〟を堪能しつつ、奥に進んでいくと、あるときふと、背筋が伸びる瞬間が訪れます。どこか、人に見られている気分になり、コソコソと振る舞っていてはマズいような気がするのです。そう、路地は住まい手が共有するアプローチ空間であり、本来、住まい手しか利用しない、共用庭のようなセミパブリックスペースであることに気付いたとき、どこか「申し訳なさ」がこみ上げるのです。
 路地のまち歩きは、暮らしの表出から感じられる「ほっこり」と、ひとのプライベートを侵しているような「ドキドキ」の共存が癖になります。この「ほっこり」と「ドキドキ」のバランスは、路地の行き止り・通り抜けの違い、幅員や延長によって様々です。このような微妙な差異を比べながら、京都の路地を巡るのはいかがでしょうか。

路地ライフを妄想する

 先に書いたのは少し偏った路地の楽しみ方ですが、他にも路地は自動車が進入してこず、安心できる子育て環境があることや、熱心なコミュニティ活動など、多面的な評価がなされています。特に不動産物件としての手頃さもその一つで、近年では、若者が住まいや事業を始める物件として路地の建物を求めるようになってきているようです。路地の建物の改修を手がける事業者も増え、現在の暮らしに合った住まいや路地の雰囲気を活かした店舗、アーティストの活動スペース等としてのリノベーションがなされた物件も散見されます。路地は現在においても、京都の魅力に惹かれた人々を受け止める寛容さを備えているということでしょうか。「私も路地に住まうとしたら・・・お店を出すとしたら・・・」などと妄想しながら、ぶらりとするのも一つの路地の楽しみ方かもしれませんね。
 現在、アルパックでは、京都の路地の魅力を伝え、路地に住まう際の手引きとなる「路地保全・再生デザインガイドブック」(今年度中の発行を予定)の作成をお手伝いしています。ご関心のある方は、是非、一度手に取って頂けたらと思います。


 トンネル路地の「ドキドキ」は格別

 お地蔵さん

レターズアルパック203号・目次

2017年5月1日発行

特集「ぶらり」

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