レターズアルパック203号

特集「ぶらり」
全国でも珍しい「ノーカーゾーン」のひろがるまち

 グループが取り組んでいる特徴的なプロジェクトの一部を紹介します。
執筆者;都市・地域プランニンググループ/橋本晋輔

「ぶらり」が楽しいまちというとどのようなイメージを持つでしょうか。歴史的なまちなみ、小さなおしゃれな店舗が点在するまち…。そのようなまちと対局的なイメージなのがニュータウンではないでしょうか。

 大阪市住之江区にある南港ポートタウンも計画的に整備されたニュータウンの一つです。ただ、他のニュータウンと大きく違うところは、「ノーカーゾーン」という制度を1970年代のまちびらき当初から導入しており、自動車の進入が禁止された1キロメートル四方のエリアがあることです。海外では、ドイツやフランスなどヨーロッパ諸国を中心に歩行者中心のまちづくりが進められ、住宅団地でも自動車の進入を禁止しているエリアがありますが、国内の住宅地でこれだけの規模で自動車進入禁止にしているのは非常に珍しいケースです。


 

「ノーカーゾーン」により得られる豊かな空間

 南港ポートタウンの住民の駐車場はニュータウンの外縁部にあり、自宅から自動車に乗るには駐車場まで徒歩や自転車で行く必要があります。許可を得れば自動車をノーカーゾーンの中に入れることはできますが、住宅のすぐ側に駐車場がある一般的な住宅団地に比べると自動車利用は不便です。ただ、その分まちの中には駐車場がなく、豊かな公共空間、緑地空間が広がり、とても大阪市内とは思えない風景が広がっています。また、このまちにいて感じるのは、歩いている人が多いことや住民同士のつながりが強いことです。人口約23千人、230人/ヘクタールの高密な住宅地であり、かつ一般市街地に比べると閉鎖的なニュータウンという特性もありますが、平日昼間でも歩いている人が多く、駅前の広場などで立ち話をしている人をよく見かけます。このような特徴をPRしようと、住民らで構成するまちづくり組織(咲くまちPT)が中心となり、これまで動画、ホームページの作成やイベントなどを行ってきました(詳しくはニュースレター197号参照)。


 

不便さの先にどのようなまちがあるのか?

 「自動車というパーソナルな交通手段を規制する」、すなわち個人個人がある程度の不便さを受け入れることと引き換えに、他の地域にない魅力を得て暮らしを豊かにする。これは、最近国内各地でも行われてきている道路空間の再配分など、歩行者中心のまちづくりの動きとも重なります。それぞれが不便さを受け入れ、それを続けていくことは難しいことですが、その不便さの先にどのようなまちの姿があり、暮らしがあるのかを共有していくことが本当の意味での豊かなまちづくりにつながると思います。
 今後、南港ポートタウンで「ぶらり」の楽しさをさらに高めていくためには、豊かな公共空間、緑地空間の活用を進めていくことが必要です。先日、緑道を活用して、手作りをテーマにした「ナンコウDIYマーケット」が開催されましたが、このような動きがまちの更なる魅力向上につながると感じています。


 

レターズアルパック203号・目次

2017年5月1日発行

特集「ぶらり」

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