アルパックニュースレター195号

神戸市サインモニター調査について

執筆者;都市・地域プランニンググループ/中井翔太

 みなさんは、初めて訪れたまちで目的地に行く際、どのように行き方を調べるでしょうか。人に尋ねる、地図で探す、スマートフォンの地図アプリを利用する等…何らかの「案内」に頼ることになります。
 現在、神戸市ではこの「案内」を考え直す取り組みがなされています。具体的には、まちに設置されている案内サインをリニューアルするのですが、アルパックではそのお手伝いしています。
 この事業の一環として、神戸を訪れたことのない方に、案内サインだけを頼りにある目的地を目指していただくモニター調査を実施しました。初めて神戸を訪れた人が「どのように案内サインを活用するのか」「どのような場所で迷うのか」また「どこで、どのような情報を必要とするのか」といったデータと案内サインに対する意見を把握するものです。参加モニターの方々には、事前に情報を与えてしまうことを避けるため、当日、出発地点の駅に着くまで何をさせられるのかも殆ど知らされません。とても不安に思われたモニターの方もおられたことでしょう。
 駅に到着したモニターの方は、そのとき初めて見る指示書を基に記載された目的地を目指します。
 幸い、完全に迷ってしまい途中で諦めることになった方はおられなかったようですが、行ったり来たりを繰り返した方もおられたようです。
 このようなご協力いただいた方々の苦労の末、少しずつ神戸の「案内」に関する課題が見えてきたところです。神戸のまちは、大阪や京都、札幌の都心部に代表されるような格子状の街路を持ちません。規則性の少ないまちの中で、「山側・海側」といった神戸ならではの特徴を見つけ出し、今後、案内サインの板面表示や新しく導入する誘導サインのデザインに繋げていきたいと思います。
 通常、案内サインのような公共性のある設備や施設をつくる際、市民の意見を聞くことはよく行いますが、今回のように神戸とはこれまで縁も所縁も無かった方々の意見をとり入れようという試みは非常に珍しいのではないかと思います。これまで港町として多様な文化受け入れ発展してきた都市ならではの取り組みと言えるのではないでしょうか。神戸市の案内サインは、今年4月以降、順次付け替えを行っていきます。今後、もし神戸を訪れる機会があれば、スマホの画面ばかりでなく、一度、案内サインをご覧になってください。


サインの前で案内する観光ガイド

アルパックニュースレター195号(新年号)・目次

2016年1月1日発行

新年の挨拶

ひと・まち・地域

きんきょう

うまいもの通信

まちかど