アルパックニュースレター195号

コクヨのライブオフィスを見学して

執筆者;環境マネジメントグループ /樋口彩子

 大阪事務所の移転にあたり、働きやすいオフィス環境づくりの参考として、グランフロント大阪のコクヨライブオフィスの見学に行ってきました。ナレッジキャピタル11階にショールームがあり、12階がライブオフィスになっています。ライブオフィスでは、コクヨ社員が実際に働いている様子を見学でき、空間の使われ方や人の動きを、見て、体感することができます。
 コクヨは社内に常駐する一部の社員を除き、営業担当・設計担当とも、全員がフリーアドレスで、そのため席数は全社員250名の7割ほどです。週ごとに2、3の机の島に座るグループが決まっており、それがローテーションしていきます。実際にフリーアドレスの事務所を見たのははじめてでしたが、自由に席を選べるので、話したいことがあれば、隣のいすに座って、ちょっとした打ち合わせがその場でできる、カジュアルさが良いと思いました。
 まず気づくのは、社内を見渡した際にどこにも書類がないということです。棚は、本が置かれる本棚しかなく、他の家具は主に可動式の机や椅子のみです。社員の方もノートパソコンと、ほんの数枚の紙資料だけ持って、長机のひと席で、コンパクトに収まっています。空間に書類がなく、社員も書類を持っておらず、こんなに減らせるのが、信じがたく思いました。
 書類が少ないのは、各社員に割り当てられたロッカーに収まる分以上は、書類を増やせないと決めているからです。動いている業務や保管すべき必要最低な書類以外は、全て電子化しています。書類の保管にも段階があり、一時的に期間限定で置いておき、廃棄するか検討すべき書類、廃棄せず、半永久的においておく書類がはっきりと分けて整理されています。書類だけでなく、文具の補充・使用のルール、マイナンバー等のセキュリティ管理など、効率化・共有化に細部まで徹底したルールがあります。
 また使っていくうちにでてきた改善点も、社内中央の掲示板に貼られた平面図に付箋を貼って、気軽に提案できます。提案に対する対応状況(「現在、取り組み中」「改善結果」等)も掲示板でアナウンスされています。案内していただいたファイリング担当の方は、試行錯誤を繰り返して現在の仕組みを作り上げてきたと話されていました。
 またオフィス空間については、目線を遮る棚がないため、非常に広々して感じられ、ぱっとみて、誰がどこにいるのかを把握できる感じでした。
 広い空間ですが、様々な可動式家具が点在し、小さな仕掛けが沢山詰まっています。
 家具の変化と連動して、スペースごとに床の色合いがちがっているところ、丘のように床が少し高くなっているところ、窓際に2人用の机が並び、少しふかふかした素材の椅子で、喫茶店のようなところなど、様々な場を気分によって使い分けられます。
 フランクな場だけでなく、集中できる場所も用意されています。窓際にややブース化した場所があり、時間単位で借りることができます。その他、プロジェクトルームという、プロジェクト期間に一時的に借りる部屋があり、期間内であれば荷物を出しっぱなしで、壁のホワイトボードも書きっぱなしで帰れます。
 またミニキッチンがついて、普段はランチに使え、セミナー等のイベントも開催できる部屋、テレビ会議のできる会議室等、囲われた空間もあります。実際に働く人に、作業により働きやすい場所や、人気の場所を聞いてみたいと思いました。
 見学後、ファイリングのお話もお聞きしました。書類の削減と管理は分けて考えること、目標を設定し、段階的に達成していくこと、社内のみんなでモチベーションを共有する重要性など、非常に有意義なお話でした。
 見学を通して、ルールがあるだけでなく、それをきちんと運用できている徹底ぶりに感心しました。社内のコルクボードに改善を書き込むように、苦でなく気軽にできる改善を、日々、継続して行っているから、ちゃんと使えるルールになっているのだと思います。
 現状、コクヨライブオフィスとはかけ離れた状態のアルパック社内ですが、参考にできる部分がたくさんあると感じました。
 みなさん、自社のオフィス環境を考えるきっかけとして、ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

アルパックニュースレター195号(新年号)・目次

2016年1月1日発行

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