レターズアルパック206号
住宅地の外構にみられる景観資源を調査しています
執筆者;都市・地域プランニンググループ/水谷省三
神戸市東灘区の山麓部に位置する本山北町地区は閑静な住宅地で、阪神間を代表する「山の手の住宅地」として上質な住宅が集積しています。
地区内には、大正期に開発された住宅地もあれば、高度経済成長期に開発された住宅地もあり、開発時期は様々ですが、斜面地形に沿って、質の高い外構の設えなどによる、深みのあるまちなみが形成されています。これらの住宅地景観の外構を特徴づけるものとして、斜面地を造成する際に造られた石積み擁壁と敷地内に配置された高木植栽や生垣などの豊富な緑があげられます。
地区内に多数見られる石積み擁壁には、錆御影(鉄さびのような褐色の色合いをもつ花崗岩)を用いた石積みが数多く使われています。自然な風合いの野面石や間知石などの石積みが連なるまちなみは、重厚な印象を感じさせるものとなっています。また、高さが高いものでは二段、三段と積み方を変えて重ねるものもあり、様々な石積みの表情が見られます。

築地塀越しの植栽
一方、植栽の特徴は、道路に面した生垣や築地塀の奥に見られる高木植栽など、奥行きを感じさせることです。また、門扉や塀の背後に見越しの松が植えられていたり、大きく育ったヒマヤラスギが綺麗に剪定されて象徴的に配置されるなど、手間をかけて美しく管理されている様子が見られます。日当たりのよい山側の南側敷地に植栽地が連続している様も、まちなみの特徴と言えます。
今回の景観資源調査は、住宅地のまちなみを構成する外構に見られる石積み擁壁の石の形状や積み方、植栽の配置などを把握するものです。開発時期や地形の特性等を加味し、阪神間の上質な住宅地に見られる深みのあるまちなみの秘密を解き明かしたいと思います。
![]() 2段積みした石積み |
![]() カイヅカイブキの生垣と錆御影の石積み |
レターズアルパック206号・目次
2017年11月発行
特集「スポーツ」
- 特集「スポーツ」/レターズアルパック編集委員会
- 自治体によるスポーツ施策と働き盛り世代のスポーツ事情/石井努
- 地域に愛される王道のチームスポーツ「バレーボール」/竹内和巳
- ヒルクライム大台ケ原since2001~その日、村は自転車一色となった~/原田稔
- 自然を体感できる自転車の魅力/伊藤栄俊
- しま山登山のススメ~絶海の孤島「青ヶ島」を訪ねて~/中村孝子
今、こんな仕事をしています(業務紹介)
- 「文化芸術立国」に向けた西日本の取組/江藤慎介
- 空き家をまちづくりの資源・きっかけに~マルチステークホルダーで対応していく空き家対策~/戸田幸典
- 住宅地の外構にみられる景観資源を調査しています/水谷省三
- 加西市に来たれ外国人観光客~地方都市におけるインバウンド観光の可能性を探る~/片山麻衣
- 「景観読本」ができました/中井翔太
- 地元の企業や産品を見て、知って、自慢しよう/高田剛司
- 「兵庫県林業会館」をCLTで建て替える/三浦健史
きんきょう&イベントのお知らせ
- これまでの50 年への感謝とこれからの50 年に向けた決意「アルパック創立50 周年記念フォーラム」を開催しました/創立50 周年記念フォーラム実行委員長 中塚一
- 地域に寄り添って地方創生を考える(番外編)/森脇宏
- 「イノベーション・キュレーター塾」を卒塾しました/江藤慎介
- チャレンジャー求ム-村ではたらく・つくりだす座談会&体感合宿プログラム-を開催しています/中川貴美子









